VRリハビリ機器、山香病院が県内初導入 歩行や認知機能、ゲーム感覚で短期回復促す【大分県】

仮想現実の的に向かって腕を伸ばす患者=杵築市山香町野原の市立山香病院

 【杵築】杵築市山香町野原の市立山香病院(小野隆司院長)が、仮想現実(VR)を取り入れた最先端のリハビリテーション機器を1台導入した。座ったまま上半身を動かし、ゲーム感覚で歩行機能や認知機能の短期回復を促す。全国で54施設が受け入れており、県内では初めて。

 機器の名称は「medi(メディ)VRカグラ」(測定機能付き自動運動訓練装置)。医療機器メーカー「mediVR」(本社・東京都)が産学連携で大阪大と共同開発した。経済産業省主催のジャパンヘルスケアビジネスコンテストで最優秀賞を受賞している。

 ゴーグルを装着すると、立体のVR空間が目の前に広がる。仮想空間内には的があり、患者は両手に持ったスティックを指示された的に当てる。対象の的が左右交互に出るのが特徴。指示通りに当てると震動とともに「あっぱれ!」と日本語が表示される。

 メディ社によると、歩行動作を片足立ちの連続動作と捉え、骨盤が前傾となるよう左右交互に腕を動かすことで歩行機能を向上させることができるという。的は患者の左右、上下にあり、腕だけでなく体幹を鍛えることにもつながる。

 同病院は5月に試験導入し、短期間で歩行がスムーズになったり、洋式の便座に座れるようになったりしたという。1回の使用時間は20分から40分。患者の容体にもよるが、リハビリは2、3カ月から最長6カ月を目安にしている。購入費は330万円。年間の維持費は120万円。

 同市片野の中原スミヱさん(76)は変形性脊椎症で入院した。数回の使用で車椅子の状態から、補助を受けながら歩けるようになった。

 篠原美穂リハビリテーション課長は「新しい機器を使うことで入院を短期化できれば社会保障費の抑制にもつながるのではないか」と期待している。

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