長崎県で「ドコデモこども食堂」開始 地域の飲食店で見守り 曜日や時間の制約少なく

ドコデモこども食堂のイメージ

 食事や見守りを必要とする家庭が地域の飲食店で、必要なときに安心してご飯を食べられる「ドコデモこども食堂」が6月から長崎県で始まった。曜日や時間の制約が少ない子ども食堂として、一般社団法人「明日へのチカラ」(大阪市)が各地の支援団体と連携して展開。大阪を皮切りに全国で徐々に広がりを見せている。
 利用対象は各地の支援団体が関わっている家庭。運営費は企業や個人からの寄付で賄っている。各団体が20世帯を上限に、毎月3千円分のクーポンをスマートフォンのアプリに配布。利用者は提携店舗で食事をし、電子決済の手順で支払い、後日、運営側から店舗側に入金される仕組みだ=図参照=。
 事業の狙いは食事の提供だけでなく、支援を必要とする家庭が地域の中で多くの人と継続的につながりを持つこと。7月1日現在、本県を含む5府県で開始した。同法人の岩朝しのぶ代表理事は「一支援団体で関わることができる人数は限りがある。地域を巻き込み、同じ思いを持った大人が連携することで、より多くの子どもたちを見守ることができる」と強調する。
 厚生労働省の調査(2018年)によると、18歳未満の子どもの貧困率は13.5%で、7人に1人が貧困状態にあるとされる。岩朝さんは、深刻な課題を抱える親子ほど他人に頼るという選択肢がないと指摘。関わる人を増やし“ヘルプサイン”を見落とさない社会づくりの必要性を訴える。

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