DVに特化の被害者支援 宇都宮のNPO、LINEで24時間相談対応

 ひとり親家庭を支援するNPO法人「ぱんだのしっぽ」(宇都宮市)は6日までに、ドメスティックバイオレンス(DV)に特化した相談・支援事業を始めた。無料通信アプリ「LINE(ライン)」を活用した24時間の相談対応のほか、警察や行政機関への同行など、被害者に寄り添った支援を続けていく考えだ。

 同法人は2020年の設立以来、孤立したひとり親家庭へ定期的に食品を届ける「子ども宅食」を通じて、家庭が抱えた課題を聞き取り、必要な支援につなぐアウトリーチ(訪問支援)事業を行っている。

 6月時点で約80世帯を支援しているが、このうち3割ほどの背景にDV被害があるという。小川達也(おがわたつや)理事長(51)は「配偶者との別居、離婚後も恐怖や不安が当事者を苦しめ、就職の難しさなどから生活困窮に陥るケースが多い」と明かす。そのためDV被害者への支援拡充を決めた。

 DVに特化した相談・支援事業「DAHLIA(ダリア)」の取り組みは5月末から始めた。看護師やカウンセラーを含む専門スタッフ4人を配置している。

 宇都宮市と隣接地域を対象に、相談対応に加え、住居に出向いての私物の引き取り、行政機関での手続きへの同行など、ニーズに応じた継続的な支援を行う。

 「今助けてほしい」という緊急のSOSの連絡が来たり、電話の向こう側で震える女性の声や子どもの泣き声が聞こえたりするケースなどがあるという。

 小川理事長は「セーフティーネットの多くは初期が対象で、その後続く被害者の生活の支援が不足している」と指摘する。生活困窮に絡んだDVや虐待など「負の連鎖」にも言及し、「苦しみを次世代につなげないためにも、早期回復と自立を支えたい」と話している。(問)ぱんだのしっぽ090.8565.7830。

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