第105回全国高校野球長崎大会第1日 口加・井上蓮主将 野球できる今に感謝

力強く選手宣誓する口加の井上主将=県営ビッグNスタジアム

 「お世話になった方々や仲間の声援を受け、全力を尽くすことを誓います」。選手宣誓を務めたのは国見と島原翔南、諫早商との4校合同チームで夏に挑む口加の井上蓮主将。青空が広がる球場に力強い声を響かせた。
 抽選で大役を引き当てて、真っ先に思い浮かんだのが声援の中でプレーできることへの喜び。コロナ禍の制限が多い中で野球をやるのは、ずっと物足りなかった。「さまざまな人の努力があって今、当たり前に野球ができている」。ありったけの感謝を言葉に込めた。
 有家中1年から野球を始めて白球を追った。ポジションは捕手。高校は勉強と野球の両立を目指して地元の口加に進んだが、1年秋から人数不足となり、同じく小所帯の近隣校と一緒に活動するように。思うようにいかず、モチベーションが下がることもあった。
 それでも、最後まで続けられたのは、同じ境遇の仲間と勝って笑いたかったから。週に1度、それぞれの学校からグラウンドに集まり、チームワークを培ってきた。「単独チームではなくても、野球を楽しめることを体現したい」
 今大会で競技人生は一区切りの予定。まずは無事に大役を終えて「緊張したが、今までで一番うまく話せた」と表情を緩めた。次は8日の試合本番で、相手は同じく合同チームの佐世保商・佐世保西・平戸。どちらが勝っても、合同チームの大会初白星となる。「ここまでやれるんだと周りを見返したい。自分たちが歴史的1勝を」。違うユニホームを着た“ワンチーム”の熱い夏が幕を開けた。

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