稲の害虫、ついでにコロナも追い払おう たいまつ手に練り歩き「虫送り」

大小のたいまつを手に地区内を練り歩く地元住民や子どもたち(舞鶴市多門院)

 稲の害虫を追い払う伝統行事「稲の虫送り」が1日夜、京都府舞鶴市の多門院地区であった。地元住民ら約60人がたいまつを手に練り歩き、地区には炎がゆらめいた。

 住民らは午後7時ごろにたいまつに火を付けて出発。田んぼの間の農道も回りながら約1時間、祖母谷川沿いを進んだ。鐘に合わせて「いーねのむーし、おーくろや。ひょーたんたたいて、おーきの島までおーくろや。ついでにコロナもおーくろや」と声を上げ、五穀豊穣(ほうじょう)などと共に新型コロナウイルス流行の終息も祈った。

 同地区の虫送りは1953年の台風被害以降途絶えていたが、10年前に地元の老人会が子供会と協力して復活させたという。今年も、枯れ竹の先に燃えやすいスギ葉などを詰めた約3メートルの大型たいまつ45本と青竹の小型たいまつ60本を用意した。

 新舞鶴小の3年生児童(8)は「火は怖かったけれど楽しかった。来年も来たい」と話した。世話人の男性(76)は「夕方まで大雨で中止も危ぶまれたが無事にできてよかった」と安堵(あんど)していた。

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