笹餅名人・96歳桑田さん、五所川原立佞武多の制作陣に差し入れ 「頑張ってほしい」半年ぶりに手作り

新作大型立佞武多を制作している鶴谷さん(左)に手作りの笹餅を手渡す桑田さん

 笹餅(ささもち)作り名人として知られる青森県五所川原市金木町の桑田ミサオさん(96)が6日、同市の立佞武多(たちねぷた)の館を訪れ、大型立佞武多の制作陣に手作りの笹餅を差し入れた。桑田さんは昨年2月、笹餅作りの活動に区切りをつけることを明らかにしており、笹餅を作ったのは半年ぶり。「若い人たちが一生懸命にやっているというのをニュースで見て、頑張ってほしいと思った。その気持ちを込めました」と笑顔を見せた。

 市民団体「公開講座 奥津軽」の角田周代表と共に同館を訪れた桑田さんは、新作立佞武多「素戔嗚尊(すさのおのみこと)」を制作している鶴谷昭法さん(41)に、久しぶりに作った1袋2個入りの笹餅20袋を手渡し「世の中にはおいしい物がいっぱいありますけど、これは津軽の味ですから皆さんのお口に合うと思います」と声をかけた。鶴谷さんは「ずっと前から食べたいと思っていた。すごくやわらかくておいしい。元気が出る」と感激していた。

 桑田さんは昨年2月、体力の低下を理由に販売用の笹餅作りから身を引く考えを表明。11月ごろまではお世話になった人へのお礼の品として作り続けていたが、長時間の立ち作業がつらくなったことから、その後はしばらく「お休み」していたという。今回は、弟子の野呂陽子さん(68)=同市=に手伝ってもらいながら半日かけて作った。

 鶴谷さんの案内で制作現場をしっかりした足取りで見学した桑田さんは「96歳になって、こうして見ることができました」とうれしそうに語った。

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