「人生 意気に感ず」三村・前青森県知事、胸張り退任の辞

退任のあいさつをする三村申吾前知事

 「最後の最後まで全力で駆け抜けた自負は揺るがない」。青森県議会が開会した6日、三村申吾前知事が退任あいさつのため登壇し、県政史上最長の5期20年を務め上げた心境を語った。三村県政の与党として共に歩んだ最大会派・自民党の重鎮、阿部広悦県議は送別の辞として「堅実で芯の強い、行動力に優れた知事だった」と演説。降壇すると三村氏へ歩み寄り、固い握手を交わした。

 三村氏は2003年の就任当初を振り返りつつ、「今の心境は『人生意気に感ず、功名誰か復(ま)た論ぜん』という言葉に託す」と演説。私欲や損得ではなく心意気に共感し力を尽くす-という中国・唐代初期の詩を用い、知事としての自らの歩みに胸を張った。

 「20年間、本当にお世話になりました」。こう締めくくった三村氏が宮下宗一郎知事の前で立ち止まると、2人は互いに頭を下げた。

 阿部氏は演説で三村氏に「あなた」と語りかけ、「明るく親しみやすいキャラクターは県民らの心を捉え、愛され、信頼され、課題を解決に導くきっかけになった」と評価。新しいステージでの活躍を期待する-とエールを送った。

 青山祐治、柏木司両前副知事も壇上で退任あいさつをした。県議会事務局によると、退職した前知事のあいさつ、議員による送別の辞は先例にのっとって実施。議場で送別の辞を受けたのは、1995年2月の故・北村正哉元知事以来。

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