歌手モレノさんの闘病ドキュメンタリー、世界パーキンソン病学会で上映 続編製作へ支援募る

 6月に80歳で亡くなったフォルクローレ歌手のシルビオ・モレノさんが、自身の家族とパーキンソン病に立ち向かう姿を描いたドキュメンタリー映画「Todo Cambia(トード カンビア)―すべては変わる―」(河野亜季監督)が、スペイン・バルセロナで開催中の世界パーキンソン病学会で5日、上映された。映画は2021年から約1年半をかけて製作された。

 モレノさんは1979年、軍事政権下の母国アルゼンチンを離れ来沖し、82年、那覇市に「南米料理と音楽の店ペーニャあまんかい」を開店。97年にパーキンソン病を発症後、30年近く病と向き合いながら沖縄から南米の音楽の普及に努めた。妻の祐子・リンダ・モレノさんは「病を相談できない状況も経験した。1人で悩んでいる方や、困っている方の何かのヒントになってもらいたい」と話す。

 映画提供元の「NPO法人てんびん」は、日本全国のパーキンソン病当事者団体と協力し、沖縄をはじめ、日本各地で上映を予定している。今後、ドキュメンタリー作に続いて、関連の短編人形アニメーションとメイキング映像を含めた一本の作品として、2025年の全国劇場公開を目指す。

 今後の映画製作に向け支援者を募っている。映画公開後の収益はパーキンソン病に立ち向かう当事者や介護者の支援施設「プラトーハウス」の設立費と運営費に充てられる。詳細はてんびんの公式サイトから(QRコード参照)。

 (田中芳)

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