故ケン・ブロックの愛娘リアが電動オフロード初参戦。ティモ・シャイダーとタッグ結成/エクストリームE

 北米出身のティーンエイジャーとして将来が嘱望される故ケン・ブロックの愛娘、リア・ブロックがいよいよ世界選手権に挑戦する。今週末の7月8~9日にイタリア・サルディニア島で開催されるワンメイク電動オフロード選手権、エクストリームEの第5-6戦『アイランドX-Prix』より新興カール・コックス・モータースポーツに加入し、兼ねてより親交の深い「旧知の間柄」でもあるティモ・シャイダーと強力タッグを結成し、残るシーズンのフル参戦がアナウンスされた。

 父ケンからの英才教育もあり、キャリアの初期段階でラリーやラリークロス、オフロードでの実績を豊富に積み重ねてきた16歳のリアは、シリーズ創設初年度からチームを渡り歩いてきた“GZ”ことクリスティーナ・ジャンパオリ・ゾンカのシートを引き継ぎ、DTMドイツ・ツーリングカー選手権2冠王者で、WorldRX世界ラリークロス選手権の常連でもあるシャイダーとチームを組むことが決まった。

「次戦サルディニア島での『アイランドX-Prix』から、こうしてエクストリームEデビューが飾れることに興奮している!」と喜びを語ったリア。

「今回カール・コックス・モータースポーツでレースをするのは大きなチャンスであり、ステアリングを握ってコースに出るのが待ち切れない気分ね」

 そんな彼女は今季2023年もARAアメリカ・ラリー選手権のオープン2輪駆動クラスに参戦中で、開幕の100エーカー・ウッドこそクラス2位となったものの、その後のオリンパス・ラリー、オレゴン・トレイル・ラリー、サザン・オハイオ・フォレスト・ラリーではスバルBRZで3連勝を飾るなど、チャンピオンシップを席巻する速さを披露している。

 さらに先月のオクラホマ州で開幕を迎えた新生Nitrocross(ナイトロクロス)では、以前より出場してきた4輪バギーのシエラカークラスやサイド・バイ・サイドクラスから階級を上げ、フォード・フィエスタのワンメイクとなるNEXTクラスにデビュー。リザルトこそ、レース序盤の接触後に危険な方法でコースに復帰したとしてペナルティが課されたものの、ヒート首位でチェッカーを受けるスピードを見せつけた。

 そしてこの6月に入るとアメリカが誇る伝統の1戦、通称“雲に向かうレース”ことPPIHCパイクスピーク・インターナショナル・ヒルクライムでも大役を務め、タイム計測のない“トリビュート・ラン”ながら、父の遺作でもある1400PSのモンスター4WDマシン『Hoonipigasus(フーニピガサス)』を、無事に山の頂へ送り届けることに成功。競技部門に初出場し完走を果たした母ルーシーを含め、ファミリー全員で頂上での記念写真に収まった。

先月のオクラホマ州で開幕を迎えた新生『Nitrocross(ナイトロクロス)』では、NEXTクラスにデビュー
「リアの決断力とハンドルを握るスキルに感銘を受けるだけでなく、彼女の天性の魅力と可能性に興奮している」とチーム監督のアロン・シュルマン

■『オデッセイ21』は父ケンもテストドライブしたマシン

「チームのためにベストを尽くし、良い結果を残したいと思っている」と続けたエクストリームEシリーズ史上最年少ドライバーのリア。

「私が(父との交流を通じて)何年も前から知っているティモ(・シャイダー)や、チームの他のメンバーと一緒に仕事ができることを本当に楽しみにしている。これは私にとって初めてのアメリカ国外での挑戦であり、このスポーツの多くのビッグネームと対戦することになるけれど、私はこの挑戦を楽しみにしているし……始めたいと思っている」

 そんなリアの父ケン・ブロックは、2020年のダカールラリーで本格投入前のプロトタイプだったシリーズのワンメイク車両『オデッセイ21』を初公開し、そのレースカーを最初に実戦でテストドライブしたひとりでもあった。

「だからこそ、リアがサルディニアでデビューを果たすことを光栄に思う」と語るのは、シリーズのチーフ・チャンピオンシップ・オフィサーを務めるジェームス・テイラー。

「リア(・ブロック)はモータースポーツにおける偉大な才能であり、これまでの彼女のキャリアは非常に印象的だ。彼女はエクストリームEで世界クラスのドライバー陣に加わることになるが、コース上でひるむことはないと確信している」と続けたテイラー。

「リアの父親であるケンが、2020年のダカールラリーのステージで競技に参加したとき、我々のクルマでレースをした最初のドライバーだったことを考えると、リアのシリーズへの到着は、我々にとっても真に感動的な瞬間だ」

 彼女を迎え入れるカール・コックス・モータースポーツのチーム代表兼創設者でもある世界的DJのカール・コックスは、次戦サルディニアに向け「リアをチームに迎え入れることができ、とてもうれしい」と応じた。

「私自身、リアがステアリングを握るとすぐに大きな可能性を示していた事実に注目してきた。次戦に先立って彼女が出場可能になったとき、私は彼女をチームに迎え入れたいと熱望したんだ」と続けたコックス代表。

「ティモと並んで彼女がどのように活躍するかを見るのを楽しみにしているし、彼女はすでにタナー(・ファウスト)やアンドレアス(・バッケルド)といった偉人たちから指導を受けており、最高の選手たちから学び、自分に何ができるかを示したいと燃えているんだ!」

「チームのためにベストを尽くし、良い結果を残したいと思っている」と意気込むシリーズ史上最年少ドライバーのリア
この世界戦デビューが、彼女のキャリアの飛躍に繋がるか。第5-6戦”Island X-Prix”は今週末の7月8~9日に幕を開ける

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