首都圏で初!埼玉が誇る“武蔵野の落ち葉堆肥農法”が世界農業遺産に あきらめず4度目の挑戦ついに認定

落ち葉堆肥農法が継承されている短冊状に区画された三芳町上富地区の農地(三芳町提供)

 農水省は6日、国連食糧農業機関(FAO)に認定を申請している、三富新田(三芳町、所沢市)など埼玉県西部地域で江戸時代から継承されている循環型農業「武蔵野の落ち葉堆肥農法」が世界農業遺産に認定されたと発表した。2014年以来、4度目の挑戦で認定された。首都圏の世界農業遺産は初。兵庫県兵庫美方地域の「但馬牛システム」も同時に認定され、国内の世界農業遺産は計15地域となった。

 武蔵野の落ち葉堆肥農法の世界農業遺産の申請は、三芳町が14年度、FAOに推薦する候補を承認する農水省の「世界農業遺産等専門家会議」に初めて申請したが、単独やエリアなどを理由に落選した。

 2年後の16年度には、県西部地域の自治体などで構成した「武蔵野の落ち葉堆肥農法世界農業遺産推進協議会」(会長・林伊佐雄三芳町長)を結成し、再申請。農水省が新設した日本農業遺産に認定されたが、世界農業遺産の候補にはならなかった。さらに18年度も申請したが、1次の書類審査で落選した。

 4度目の挑戦となった20年度は書類審査通過後の同年10月、専門家会議のメンバーらが現地調査を実施。農水省は翌21年2月、武蔵野地域の落ち葉堆肥農法と山形県最上川流域、島根県奥出雲地域の3地域を申請候補にすることを決め、同年10月、FAOに認定を申請した。

 FAOの世界農業遺産科学助言グループの委員らは今年6月末、三富新田や農家らを視察する現地調査を実施していた。

 世界農業遺産の認定を受け、推進協議会は10日に会長を務める三芳町の林伊佐雄町長や川越市の川合善明市長ら協議会関係者が大野元裕知事に認定を報告する。

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