スーパー耐久第2戦富士で大きなアクシデントに見舞われた2台のGR86が車体交換なく戦線復帰

 7月8〜9日、宮城県のスポーツランドSUGOで開催されるENEOSスーパー耐久シリーズ2023 Supported by BRIDGESTONEの今季第3戦、SUGOスーパー耐久3時間レース。このレースはグループ2、グループ1に分かれての3時間レースが2回開催されるが、グループ2から出走するST-4クラスには、第2戦富士SUPER TEC 24時間レースで大きなアクシデントに見舞われた86号車TOM’S SPIRIT GR86、884号車シェイドレーシング GR86が2台揃って戦線に復帰した。

 2022年のST-4クラスのタイトルを争ったTOM’S SPIRIT GR86とシェイドレーシング GR86は、2023年もチャンピオンを目指し継続参戦しているが、第2戦富士では、2台がともに大きなアクシデントに見舞われた。

 シェイドレーシング GR86は、スタートから9時間近くというタイミングでコース上に侵入していた小動物と接触する不運なアクシデントに見舞われてしまった。この影響で火災が発生し、ドライバーの山田真之亮は大きな怪我はなかったが、この際に吸い込んだ煙で肺や気管に火傷を負ってしまい、スーパーGT第3戦鈴鹿を欠場することになってしまった。

 一方、ダメージを受けたシェイドレーシング GR86は、チームの川谷高徳スーパー耐久チーム監督によれば、当初火災による熱でボディ交換を覚悟したというものの、「実際に部品を外してみたら、パネル自体は大丈夫そうでした。すべての部品を外し、焦げた塗装もそぎ落としてもらい、再塗装して部品を組み込みました」とフレームはそのままに修復を実行することになった。

 フレームの塗装が終わったのが6月12日で、最終的にエンジンを積むまでいったのが6月16日。エンジンを始動するまでに至ったのがこの1週間ほどだという。7月6日のスポーツ走行では細かなトラブルがあり、7月7日の専有走行までに修正を行っているが、しっかりとレースウイーク初日から走行を果たした。また山田も「もう大丈夫です」と元気にスポーツランドSUGOに姿をみせている。

 一方、第2戦富士の深夜3時30分ごろに、他車に接触されクラッシュを喫したTOM’S SPIRIT GR86だが、三塚隆チーム代表兼監督に聞くと、「通常であれば廃車というレベル」のダメージを負ってしまっていたという。

 しかし、「いちからクルマを作るとなると、(第2戦から第3戦までの)こんな短時間ではクルマは作れないので、板金屋さんとお話をして、どのくらいでできるのか、板金の後はどのくらいで塗装し、組み立てができるのか、どれくらいの準備をするのかを逆算して、何とかなりそうだとなりました」と大がかりな修復を決断して第3戦に臨むことになった。

 完成したのは「トラックに積むほんの数時間くらい前」というタイトなスケジュールを経てSUGOに運び込まれたTOM’S SPIRIT GR86は7月6日からの走行に臨んだが、「TOM’S SPIRITの皆さんや板金屋さんが本当に短時間で直してくれたので、感動しています。実際に走ってみても新車同然です。皆さんのおかげですね」とドライバーの矢吹久はその仕上がりに笑顔をみせた。

 ST-4クラスの雄でもあるTOM’S SPIRIT GR86にとっても、シェイドレーシング GR86にとってもシリーズ争いを考えると、もう決してポイントを落とすことはできない。「ライバルがノーポイントで何戦か終わることになれば追いつくことは可能ですが……。ただ今季は面白いレースになっているのではないでしょうか」と三塚代表。

 大きなアクシデントを経て臨む2チームがどんなレースをみせてくれるか、7月9日のグループ2決勝でぜひ注目しておきたいところだ。

2023スーパー耐久第3戦SUGO シェイドレーシング GR86
2023スーパー耐久第3戦SUGO TOM’S SPIRIT GR86

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