議会がペーパーレス化模索 タブレット端末で資料確認、和歌山・上富田町

紙の資料と併用し、試験的にタブレット端末を使用する議員(和歌山県上富田町朝来で)

 紙の削減や事務の効率化を目指し、和歌山県上富田町議会は議会資料のペーパーレス化に向けた取り組みを模索している。6月定例会では、議員全員(12人)が試験的にタブレット端末を使い、紙と併用してデータ化した議案書などを閲覧できるようにした。

 町議会では、数年前からペーパーレス化の必要性を説く正垣耕平副議長(40)と、最年少の井渓港斗議員(27)がかじ取り役となり、議員全員が主体となって昨年末からペーパーレスについての検討を重ねている。

 正垣副議長によると、議員に配布する資料には多くの紙が消費されている。今はまだ導入を進める前の研究段階だが、実際にタブレット端末を使った際の要望や課題について意見を出し合うため、6月定例会で試験的にタブレット端末を導入した。

 使用したタブレット端末は、町当局から借り受けた。システムに保存した書類データを、各自の端末で閲覧できる仕組みとなっており、端末は持ち帰らず議会でのみ使用した。閉会後、議員からは、資料への書き込みや画面の表示方法などについての要望があったという。

 6月定例会以降も、タブレット端末と紙の併用は継続する。また7月には、議員にタブレット端末を配布して運用を始めた大阪府貝塚市の視察、8月には情報通信技術(ICT)を活用した議会や議員活動についての研修会を開くことも予定している。

 正垣副議長は「全員が紙ではなくタブレット端末を使っていくということではなく、紙以外の選択肢があることが大切。これからの世代のためにも、ペーパーレス化にかじを切れたことは良かった。まだまだ研究段階だが、タブレット端末を導入する良い面と悪い面の両方を洗い出していきたい」と話した。

 また、タブレット端末を取り入れることについて井渓議員は「この1台で、膨大な資料をデータ化して持ち歩くことができるので、町民からの質問にその場で調べて答えられたり、自分の知識を深めたりもできるようになる。また、ICTを活用することでより幅広い年齢層の町民とも意見交換がしやすくなると思う」と展望を語った。

 議会のペーパーレス化を巡っては、県議会が、6月定例会からタブレットを議場に持ち込むなどを可能にしている。

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