コロナ禍吹き飛ばすモダンな笑いを 神戸新開地・喜楽館が開館5周年 文珍、鶴瓶ら10日から記念公演

5周年を前に思いを語る笑福亭仁智会長と伊藤史隆新支配人=神戸市兵庫区新開地2

 上方落語の定席、神戸新開地・喜楽館が11日、開館5周年を迎える。若手落語家の出演機会を増やし、地域のにぎわいを取り戻す起爆剤と期待されて誕生。コロナ禍で厳しい運営を迫られているが、神戸に演芸文化を根付かせようと奮闘している。上方落語協会の笑福亭仁智会長(70)は「神戸らしいモダンで自由な企画が喜楽館らしさ。地域に根ざした寄席づくりを今後も進めてほしい」と語る。

 喜楽館は同協会前会長の六代桂文枝さん(79)らが、大阪・天満天神繁昌亭に続く第2の定席を神戸につくろうと構想したのが始まり。新開地商店街にあるすし店の若大将からの手紙がきっかけとなり、新開地が建設地に選ばれた。

 2018年に開館し、2階建て212席を備える。昼は同協会の落語家らによる寄席が毎日行われ、朝、夜は貸し館として独演会や音楽イベントなどに利用されている。

 コロナ禍では20年と21年、緊急事態宣言中に計6カ月休館。再開後は席数を96席に絞ったが、昼席の客入りが1桁という時もあった。同館マネジャーの山本憲吾さん(64)は「演者の方が多い日もあり、さみしい限りだった」と振り返る。

 コロナ感染症が法的に「5類」に移行してからは入場者数もコロナ禍に比べ3割ほど増えた。人気の噺家や企画によっては完売する日もあるという。

 一時は資金繰りが逼迫したこともあり、持続的な集客に取り組んできた。1万円の寄付で入場割引券にもなる名刺や入場予約券を進呈する「タニマチ制度」には、千人以上の協力を得られた。「プロ野球応援ウイーク」や「女流特集ウイーク」など、昼席にテーマを設けることにも力を入れ、途切れず企画を続けている。

 11日には朝日放送テレビアナウンサーの伊藤史隆さん(60)が支配人に正式就任。プログラム編成や広報などに力を注ぎ、賞の創設も企画している。伊藤さんは「お客さんも参加してもらう仕組みを作り、一緒に頑張ろうという雰囲気を大事にしていきたい」と話した。

     ◇

 10~16日の昼席は「5周年記念特別公演」と銘打ち、豪華出演者が勢ぞろいする。各日トリを務めるのは、笑福亭仁智(10日)▽桂文枝(11日)▽桂福団治(12日)▽笑福亭福笑(13日)▽桂文珍(14日)▽月亭八方(15日)▽笑福亭鶴瓶(16日)=敬称略。一部日程は完売。3500円。喜楽館TEL078.335.7088(小尾絵生)

© 株式会社神戸新聞社