2023年、夏のボーナスはみんな何に使う? お金のプロが考える、未来を見据えた3つの使い道

この夏の大手企業のボーナスが、前年比3.91%増の95万6027円と、高い水準となったことで話題を呼びました(「2023年夏季賞与・一時金 大手企業業種別妥結状況(加重平均)」日本経済団体連合会 2023年6月29日発表より)。

データを見ると、前年に比べてボーナス額が大きく伸びている業種は、商業、鉄道、機械金属、自動車、造船、情報通信などがあげられます。日本の社会全体を見ると、少しずつ賃金が伸び始めているように感じます。

では、この夏ボーナスが出る人は、いったいどんな使い道を予定しているのでしょうか。アンケート調査結果を見ていきます。また、どのように使うとより効果的か、といったご提案もお送りします。


2023年の夏のボーナスの使い道で、昨年より「増えたもの」は?

引き続き感染症への対策は欠かせませんが、コロナが5類感染症になり、レジャーなどに出かける人も多いでしょう。

そんなタイミングで、2023年の夏のボーナスをどんなふうに使う人が多いのでしょうか。調査結果を見ていきましょう。

共通ポイントサービス{Ponta(ポンタ)}を運営するロイヤリティ マーケティングによる「Pontaリサーチ」(2023年5月30日~5月31日)にて実施した「第58回Ponta消費意識調査 2023年6月発表」を見てみます。

<夏のボーナスの使い道 ※3つまで>

1位…貯金・預金(34.0%)☆昨年からややDOWN

2位…旅行(宿泊を伴うもの)(8.0%)★昨年からややUP

3位…食品(ふだん食べるもの)(5.3%)☆昨年からややDOWN

4位…外食(食堂・レストラン、和・洋・中ほか専門店)(5.0%)☆昨年からややDOWN

5位…財形貯蓄(3.8%)★昨年からややUP

6位…衣服(2.5%)☆昨年からややDOWN

7位…ローンや借り入れの返済(2.4%)☆昨年からややDOWN

8位…投資信託(2.1%)☆昨年からややDOWN

9位…旅行(日帰り)(2.0%)☆昨年からややDOWN

10位…株式(2.0%)☆昨年からややDOWN

この結果を見ると、「旅行(宿泊を伴うもの)」の増加が目を引きます。一方で、コロナ下で増えていた「食品(ふだん食べるもの)」が減ったほか、「衣服」も減り幅が大きめでした。

「投資信託」や「株式」は、ここ数年は「ボーナスで買うもの」として増加傾向でしたが、今回の調査ではやや減っています。興味がある一定の人は、すでにある程度始めているのかもしれません。

全体を俯瞰して見てみると、「貯蓄も大事だけれど、これまでずっとガマンしてきた旅行など新しいことにお金を使いたい」という空気を感じます。

2023年の夏のボーナスの使い道の案3つ

ボーナスの使い道が、もうすでに決まっている人もいるかもしれませんが、まだ迷っている人もいるでしょう。そんな方に向けて、ボーナスの一部を使って、この夏だからこそトライしたいことを3つお伝えします。

1. 物価が上がっている今は、「将来価値の出るもの」にお金を使ってみる

今回の調査では、ボーナスの使い道としては「貯金・預金」が1位でした。もちろん、預貯金は大切なことですが、物価がどんどん上がっていますので、お金を超低金利の状態で預けたままでは、実質資産が目減りしてしまう可能性があります。そのため、何か買い物をするとすれば、「将来価値の出るもの」を意識することもよいでしょう。

「欲しいけれど、高いから…」とずっと諦めてきたものはないでしょうか。欲しいバッグ、時計、洋服、アクセサリー、趣味のものなど、今後も長く大切にできそうなもののなかで、無理なくボーナスで買えそうなものがないか、改めて思い返してみましょう(クレジットカードの分割払いやリボ払いで払わないように要注意です)。“もの”だけでなく、“コト”もよいでしょう。ずっと行きたかった旅行や習いたかったことなど、時間がたって「あの時、行ってよかったな」「あのとき、習い始めてよかったな」と思うようなことはないでしょうか。

それは、他人からの評価だけでなく、将来の自分が「買っておいてよかった」というものも含みます。刹那的に「今を楽しみたい」というものばかり買っていると、お金はいくらあっても足りませんし、少し時間がたてば不要なものになって、今度は片付けや処分に苦労します。少し長い目で見て、多少高かったとしても、将来的の自分も喜べるようなものを選ぶのは、いかがでしょうか。

2. 自己投資に使ってみる

「将来価値の出るもの」は、自分自身のスキルも当てはまります。スキルアップは時間がかかるものです。今からじっくり進めておくことで、将来の収入アップや、仕事のやりがいアップにつながるはずです。

会社員など、雇用保険に加入していて、一定の条件を満たす人なら、教育訓練給付制度を使って、お得に講座を受講するのもおすすめです。講座のレベルごとに3つに分かれていて、受講費用の20%、または40%、または50%(条件を満たすと70%)の給付金(上限額あり)を受け取れます。割引で受けられるようなイメージですね。対象となる講座は、厚生労働省のホームページの他、「教育訓練給付制度 厚生労働大臣指定教育訓練講座 検索システム」で確認できます。ぜひチェックしてみてください。

個人事業主である筆者は雇用保険に加入していないので、この教育訓練給付制度の活用はできませんが、この春から大学(通信)にて学んでいるところです。日々大変ですが、学び始めて非常によかったと思っています。世の中には、無料で利用できるものも多いですが、「お金を払うこと」で学びに対しての本気度が試され、「お金を払ったし、がんばろう!」と、より身が入るように思います。

3. 2024年の新NISAに向けて、投資を試してみる

2024年から新NISAが始まります。最近、新NISAに関する情報をよく見かけるようになり、投資未経験者の人も「来年は始めてみようかな」と思っているのではないでしょうか。いきなり2024年の新NISAから始める前に、今年の夏のボーナスの一部で、お試しで始めてみることもおすすめです。

筆者は、20年近く前にFPの資格を取得しましたが、資格取得直後よりも、その後実際に投資信託を積みたて始めてからの方が、投資に対しての理解が非常に深まりました。実際に自分のお金で試してみることの価値は、非常に大きいです。

ただし、投資にはリスクがつきもので、資産が一時的に減る可能性はあります。減っても気にならない余裕資金で、積み立てて始めてみるのもよいでしょう。今年のうちに、つみたてNISAで、月1000円などで積み立てて、投資の経験をしておくのもよいと思います。

今回は、みんなのボーナスの使い道と、今年の夏のボーナスの一部での使い方のご提案をお届けしました。よいお金を使うことは、よいものやサービスが儲かることにつながり、双方がハッピーになれます。もちろん預貯金も大切ですが、「よいお金を使うこと」も同時に考えていきたいですね。

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