津軽塗が“バカ塗り”と呼ばれている理由とは? 「バカ塗りの娘」本編映像

2023年9月1日より全国公開、8月25日より青森県先行公開される、第1回「暮らしの小説大賞」を受賞した髙森美由紀の「ジャパン・ディグニティ」を、堀田真由出演、鶴岡慧子監督で映画化した「バカ塗りの娘」から、津軽塗が“バカ塗り”と呼ばれている理由を解説する本編映像が公開された。

映像は、青森を訪れた観光客から“バカ塗り”という津軽塗の呼び名の理由を問われた旅館の亭主が、「津軽塗は何十回も塗っては研いで、塗っては研いでを繰り返して、ものすごい手間をかけて作るんです。それでバカ丁寧という意味だとか」と説明するシーンから始まり、津軽塗の代表的な塗り方のひとつ「七々子塗」や「唐塗」で仕上げられた漆器も映し出されている。劇中では、それらの作品が職人の手でいかにして作り上げられているのかを、塗りの映像や音とともにじっくりと見ることができる。

鶴岡監督は、本作の脚本を執筆する過程で津軽塗の本を熟読し、その上で津軽塗職人に脚本を読んでもらったという。「職人さんに読んでもらうと、『これはよそいきのもので、職人の感覚や経験で培ってきているものとちょっと違う』と言われました。津軽塗の本には、乾かすのには何時間とか、それぞれの工程が表になって説明されているのですが、漆塗りは天気や気温、湿度にすごく左右されるので、絶対にその表通りにはいかないんです。自分の経験と感覚を頼りに、実際に漆の状態を見て、次の工程に進めるか、もう少し漆風呂に入れておいた方がいいかなどを職人さんは見極めているそうです」と、津軽塗の描写に関して、職人と密に擦り合わせて修正し、2年半という歳月をかけて脚本を完成させたことを明かしている。

「バカ塗りの娘」は、青森の伝統工芸・津軽塗=通称“バカ塗り”をテーマに描かれる物語。何をやってもうまくいかず、自分に自信が持てない美也子(堀田真由)が、津軽塗職人の寡黙な父・清史郎(小林薫)との暮らしの中で、幼い頃から触れていた津軽塗にあらためて向き合い、次第に自分の進む道を見つけていく。タイトルにある“バカ塗り”とは、完成までに四十八工程あり、バカに塗って、バカに手間ひまをかけ、バカに丈夫と言われるほど、“塗っては研ぐ”を繰り返す津軽塗を指す言葉。

素朴で不器用な23歳の美也子(みやこ)を演じるのは、堀田真由。NHK連続テレビ小説「わろてんか」で注目を集め、次々に話題作に出演してきた彼女が、家族への悩み、将来への不安、淡い恋心と、どこにでもいる等身大の女性の心情を自然体で演じる。美也子の父親で津軽塗の職人・清史郎(せいしろう)を小林薫が演じる。監督は、「過ぐる日のやまねこ」でマラケシュ国際映画祭の審査員賞を受賞した鶴岡慧子が務める。

【作品情報】
バカ塗りの娘
2023年9月1日(金)全国公開、8月25日(金)青森県先行公開
配給:ハピネットファントム・スタジオ
(C)2023「バカ塗りの娘」製作委員会

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