スーパーGTのセーフティカー活動中のピット作業規定が変更に。安全性の向上が狙い

 7月7日、スーパーGTをプロモートするGTアソシエイションは、エントラント、オーガナイザー向けにブルテンNo.033-S、No.034-Sを発行した。2023年のスポーティングレギュレーションの一部改訂、およびスポーティングレギュレーション付則の一部改訂を行うもので、No.034-Sでは、荒天となった第1戦岡山で見られたようなセーフティカーラン時の安全に対する項目が変更されている。

 スーパーGTのスポーティングレギュレーションのなかには、付則-3としてセーフティカーの運用に関する規定が設けられているが、このなかで『SC活動中のピット作業』という項目があり、今回発表されたブルテンNo.034-Sで、この項目が変更された。

 まず、今回改訂された内容の前後をそのまま記そう。

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SpR付則.3 セーフティーカー(SC)運用

改訂前SC活動中のピット作業
16. SCボードが提示されてからSCがピット入口に進入し、マーシャルポストで緑旗が振動提示される迄の間、すべての競技車両はピットレーンに進入することはできない。ただし、以下の場合はピット作業が許される。
1)先頭車両がSCの後方につき、残りの全車両がさらにその後方に整列しモニター上に「ピットレーンオープン」のメッセージが提示された周回からピットインができる。この際ドライバー交代を除くピット作業が許される。
2)SCボード提示時点でピット入口またはピットレーンに入っていた車両については、すべてのピット作業が許される。
3)下記 17.の状況下では作業エリアへの進入・停止は禁止される。
4)これらの規定に従わなかった場合は、60秒以上のペナルティストップが課される。

改訂後SC活動中のピット作業
16.SCボードが提示されてからSCがピット入口に進入し、マーシャルポストで緑旗が振動提示される迄の間、すべての競技車両はピットレーンに進入することはできない。ただし、以下の場合はピット作業が許されるが、ピットイン義務の回数には含まれない。
1)SCが導入されてから並び替えまでの2周回(SCがピット入り口を2回通過し並び替えのためにメインストレート上に停止する周回)まではドライタイヤからレインタイヤへ変える為にピットインすることが許される。ここでの作業はドライタイヤからレインタイヤに交換する為の作業のみでありその他の作業は全て禁止される。
2)先頭車両がSCの後方につき、残りの全車両がさらにその後方に整列しモニター上に「ピットレーンオープン」のメッセージが提示された周回からGT500車両はピットインができる。GT300車両についてはその翌周からピットインができる。この際ドライバー交代を除くピット作業が許される。
3)SCボード提示時点でピット入口またはピットレーンに入っていた車両については、すべてのピット作業が許される。
4)下記 17.の状況下では作業エリアへの進入・停止は禁止される。
5)これらの規定に従わなかった場合は、60秒以上のペナルティストップが課される。

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 改訂されたのは1)が追加されたこと、2)の内容が変更されたことで、3)以降は項目番号の変更となる。例えば今季第1戦岡山を例にとると、急に強い雨が降ってきた際にセーフティカーが導入された場合、ピットインしウエットタイヤに替えることができずスリックでセーフティカーランを行う状況だったが、今回の改訂で並べ替えの前にタイヤ交換ができるようになった。ただし、この際はピットイン義務回数には含まれない。

 またピットレーンオープンの表示が出た後、まずはGT500がピットインすることができ、GT300はその翌周からピットインするかたちに変更されている。ただし、この際はドライバー交代はできない。これにより、40台近い車両が一斉にピットインするケースはなくなるはずだ。

 このブルテンに記載されている改訂理由はふたつあり、ひとつはSC中にピットインできないことにより、雨天時ドライタイヤでの走行を強いられる車両への安全対策、もうひとつはピットレーンオープン時に一斉に車両がピットインすることでの作業エリア内の安全性の向上とされている。どちらも第1戦岡山で見られたケースで、GTアソシエイションとしては、ブルテンNo.033-Sに記載されたスポーティングレギュレーションの一部改訂と同様、安全対策に対して早急に手を打ったかたちだろう。

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