増えるはしかの感染…コロナ禍で予防接種率低下 世代で違う対処「皆が震え上がるのは適切ではない」

静岡県内でも2人の患者が確認されていて、非常に強い感染力を持つはしか。予防にはワクチン接種が有効とされますが、コロナ禍での受診控えなどで接種率は低下傾向にあり、危惧する声が挙がっています。

<1歳半児検診の様子>

「まず、予防接種の歴から確認させてもらいます」

静岡市清水区で行われた1歳半の子どもの健診です。

<1歳半児検診の様子>

「はい、順調にやってくださってますね」

心身の発達を確認して、予防接種の状況もチェックしていました。

<清水保健福祉センター職員>

「今までにかかった感染症なんですけど、手足口病とヘルパンギーナ、最近?」

<母親>

「手足口病は1年前で、ヘルパンギーナは5月」

感染症などへの免疫をつける予防接種は、生後2か月から打ち始めるのが一般的。1歳になると、はしかの定期接種を受けることができます。

<女の子の母親>

「予約を取れる日になったらアプリで毎日見て、すかさず取るようにしていた」

<男の子の母親>

「予防接種は大事で、保育園に行っているので、いろいろ菌とかもらうと嫌なので全部行きました」

<清水保健福祉センター 新村律子保健師>

「コロナでどうしても受診控えされている方はいらっしゃると思う。クリニックによっては疾病のお子さんとは別の時間帯に予防接種を実施するクリニックもあるので、基本的には皆さんに受けてくださいと勧めている」

全国的にさまざまな感染症が流行する中、非常に強い感染力を持つはしかの感染者も増えています。

はしかは38度以上の高熱や、顔や腕に発疹ができるウイルス性の感染症。その感染力は季節性インフルエンザの10倍ともいわれ、空気感染するためマスクや手洗いでは感染を防ぐことが難しいとされています。国内では6月28日時点で19人の感染者を確認。過去3年間を見ると、現時点で年間の感染者数をすでに上回っています。(2020年10人/2021年6人/2022年6人)

静岡県内でも6月、いずれも30代の男性が感染し、2人の患者が確認されています。予防にはワクチン接種が有効とされますが、接種率の低下が懸念されています。

<静岡厚生病院小児科 田中敏博医師>

「『予防接種を受けたくない』ではなく、病院に行って新型コロナをもらいたくないという結果として、予防接種率が下がった状況が生じている」

国のまとめによりますと、1歳の麻しん・風しんのワクチン接種率は2019年度が95.4%、2020年度が98.5%だったのに対し、2021年度は93.5%にとどまり、国が定める定期接種の目標である95%を下回りました。

はしかはワクチンの2回接種でほぼ免疫がつきます。ただ、世代によっては予防接種の制度や免疫の有無が違うので注意が必要です。

<静岡厚生病院小児科 田中敏博医師>

「問題は、制度上『2回の接種を打ちましょう』になっていなかった世代、それが30代、40代に相当する。年齢に関係なくみんなが震え上がるのは適切な対処ではない」

はしかの予防接種は年代によって接種状況が違います。1977年以前は任意接種だったので未接種の人が多いとみられています。そして1978~2005年に関しては、追加接種の機会もあったのですが、基本的に1回の定期接種となっています。予防接種を2回していない人は特に注意が必要です。

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