戦後に200本のみ製造 「幻のピッケル」で活躍を 富山高OB、レプリカを寄贈

稲波さん(右)からピッケルを受け取る髙森部長=富山高

  ●母校に稲波さん 山岳部のインハイ出場で

 戦後間もなく、日本高周波鋼業富山製造所(射水市)が200本のみ製造した「幻のピッケル」のレプリカ(複製品)が7日、富山高に寄贈された。8月に北海道で開催される全国高校総体(インターハイ)登山競技に山岳部が男女そろって出場することを記念し、卒業生の稲波良孝さん(64)=富山市=が活躍を願って贈った。

 同校などによると、同社の前身の日本高周波重工業は終戦で民需転換を迫られ、ピッケルの製造に着手。登山関係者から高く評価されていたが、生産は早々に終了し「幻」と呼ばれるようになった。

 レプリカは1997年に富山製造所の開設60周年を記念して作られた。長さ82センチで砂鉄を原料とした鋼鉄製。稲波さんは2001年に72歳で亡くなった父三郎右衛門さんが制作に携わった縁で1本所有していた。

 7日は同校で寄贈式が行われた。稲波さんがインターハイに出場する山岳部員8人を激励し、髙森椋子部長にレプリカを手渡した。三郎右衛門さんと親交の深かった同校同窓会の高安昌敏さん(75)=富山市=も同行した。

 稲波さんは「安全に登山できるようお守りとしてもらいたい」と伝え、髙森さんは「精神的な支えとなる。インターハイで良い成績が残せるよう頑張りたい」と謝辞を述べた。

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