古城公園のSL、大井川鉄道に譲渡 高岡市、活用期待

大井川鉄道へ移送されるSL=高岡市の高岡古城公園内

  ●1941年製造、69年から展示 新天地へ

 高岡市の高岡古城公園で展示されている蒸気機関車(SL)がSL運行で知られる大井川鉄道(静岡県島田市)に譲渡されることになった。1969(昭和44)年に展示されてから半世紀以上が経過しているが、状態が良いと判断された。10日に移設作業が始まる。市は「再び線路を走るSLとして活用してほしい」と期待を高めている。

 7日の会見で角田悠紀市長が明らかにした。

 関係者によると、古城公園のSLは1941(昭和16)年製造で、かつて岐阜、名古屋、七尾を走り、68年8月から69年9月まで富山第1機関区高岡支局のSLとして城端線と氷見線を走った。地域の発展を支えた、たくましい姿を残してほしいとの要望を受け、市がJR西日本から無償貸与を受け、同年11月から古城公園で展示が始まった。

 会見で角田市長は、2021年4月に大井川鉄道から、古城公園のSLを調査したいと打診があったと説明。調査の結果、活用が可能と分かり、所有者のJR西日本を交えた協議で移送が決まったという。角田市長は「展示のみだったSLがもう一度動くということは大変夢がある話だ」と話した。

 大井川鉄道は人気アニメ「きかんしゃトーマス」の主人公を模したSL「トーマス号」の運行で知られる。同社の4両のうち2両は古城公園と同型で、現行車両の運行を維持するために部品が使われる可能性もある。同社の担当者は「(車両の)全体なのか、どこまで活用できるか検討していく。かなり活用することは間違いなく、50年以上展示され、高岡の皆さんが大切にしてきた気持ちを大事にしたい」と話した。

 10日は古城公園で「新たな旅立ちセレモニー」が開催され、大井川鉄道の鈴木肇社長が出席する。移送の作業は9月15日をめどに完了する。

 ★蒸気機関車(SL) 明治初期から活躍し、国鉄の近代化で電気機関車、ディーゼル機関車に変わった。古城公園の車両は「C11型」で計104万キロを走行した。長さ12.65メートル、幅2.93メートル、高さ3.9メートル。重量は52.2トンで、最高時速は85キロ。

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