日本遺産「能登のキリコ祭り」の先陣を切る石川県無形民俗文化財「あばれ祭(まつり)」は7日、能登町宇出津で始まった。新型コロナによる制限がない通常開催は4年ぶりとなり、待ちわびた住民は大小のキリコを担ぎ上げ、柱松明(はしらたいまつ)の回りで火の粉を浴びながら乱舞し、港町を熱気に包み込んだ。
祭神の「須佐之男命(すさのおのみこと)」をまつる八坂神社で神事を営んだ後、白山、酒垂(さかたる)両神社のあばれ神輿(みこし)2基が巡行し、若衆が「チョーサ、チョーサ」と威勢のいい掛け声で盛り上げた。
大小43基のキリコは太鼓や笛、鉦(かね)の音を響かせながら練り、宇出津港いやさか広場に集まった。高さ約8メートルの柱松明5本に火が付くと、住民は「イヤサカヤッサイ」の掛け声で気勢を上げ、上下に激しく舞った。
感染症対策で酒の回し飲みは控え、紙コップを用いるか、缶やペットボトルの飲料を配った。知人を歓待する「よばれ」は招待客を絞って行う家が目立った。
祭りは疫病を鎮めるため1665(寛文5)年に始まったとされ、荒々しさを好む祭神をもてなし、漁師町の平穏を祈る。最終日の8日も神輿とキリコが繰り出し、神輿は海や川、火の中に投げ入れられる。