高岡古城公園(富山)のSL、大井川鉄道(静岡)に譲渡 車両部品の活用検討

大井川鉄道に譲渡される蒸気機関車=高岡市の高岡古城公園

 1969年から富山県高岡市の高岡古城公園に展示されてきた蒸気機関車(SL)が、静岡県の大井川鉄道に譲り渡されることになった。同社はSLの営業運転をしており、高岡の車両の部品を活用することを検討している。市民の憩いの場で親しまれてきたSLが、静岡の地で生かされる。

 角田悠紀市長が7日の記者会見で、譲渡されることを発表した。10日にSL前で「新たな旅立ちセレモニー」を行い、解体、移送作業を始める。

 SLは41年に製造された「C11形217号機」で、現在はJR西日本が所有している。岐阜県や石川県を運行し、68年から約1年間、城端線と氷見線を走って引退。高岡市に無償で貸し出され、同公園の市民体育館の隣に展示されてきた。

 市によると、2021年4月に大井川鉄道から走行可能な車両かどうか調査したいと打診があった。調査の結果、走らせることができると分かり、同社と市、JR西で譲り渡しについて協議してきたという。

 同社の営業運転はSL4両を使用している。高岡のC11形はこのうち2両と同形で、状態の良い部品もあるため、譲り受ければ自社のSL運行の維持に生かすことができると考えた。同社の広報担当者は「車両は決して無駄にせず、高岡の思いを大事にしていきたい」と語った。

高岡古城公園のSLが大井川鉄道に譲り渡されることについて説明する角田市長=高岡市役所

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