男性同性愛を禁じた〈刑法175条〉とは? 戦後ドイツで愛と絆を求め続けた男たちの物語『大いなる自由』本編映像

『大いなる自由』©2021FreibeuterFilm•Rohfilm Productions

2021年カンヌ国際映画祭「ある視点」部門で審査員賞を受賞し、2022年アカデミー賞国際⻑編映画賞オーストリア代表となった『大いなる自由』が2023年、6月にオープンしたBunkamuraル・シネマ 渋谷宮下で7月7日(金)より公開となる。

このたび、男性同性愛を禁じる<刑法175条>によって繰り返し刑務所に収監される主人公ハンスが、久しぶりに“同志”と再会を果たし、互いに冗談を交わしながら笑顔を見せる様子を捉えた本編映像が解禁となった。

男性同性愛を禁じる<刑法175条>

Bunkamura初の配給作品となる『大いなる自由』は、戦後ドイツで男性同性愛を禁ずる<刑法175条>のもと、「愛する自由」を求め続けた男の20余年にもわたる闘いを描いた、静かな衝撃作。終戦後の1945年、恋人と共に投獄された1957年、そして刑法改正が報じられた1968年という3つの時代を行き来しながら、決して愛する自由を諦めないハンスの闘いを描いていく。

1968年、中年期にさしかかったハンスは175条違反により再び告発され、三度目となる収監生活が始まった。このたび解禁された本編映像は、ハンスが刑務作業をしているところに服役囚ヴィクトールが現れ、10年以上ぶりに再会する様子を捉えたもの。お互いを見つめるふたりの目は再会を喜んでいるかのようにかすかに微笑み、作業場で二人きりになると、さっそく軽口を交わし始める。ヴィクトールには仮釈放のための聴聞会が迫っているといい、釈放される可能性はそれなりに高いようだ。ふたりは、笑顔を交わしながらその場を離れる。

1945年にハンスが初めてこの刑務所に収監された際に同房となって以降、反発から始まったふたりの関係もお互いの孤独を分かち合うことでゆっくりと変化してきた。しかし、収監と出所を繰り返してきたハンスとは違い、ある重大な犯罪を犯したヴィクトールは長期受刑者として20年以上ずっとここで生きてきたのだ。ふたりの会話からも、そんな境遇の違いが伺える。

「彼らの関係に、何らかの定義づけが本当に必要でしょうか?」

脚本も担当したセバスティアン・マイゼ監督は彼らについて、「長い年月の間にふたりは何度も出会いますが、根本的にはかなり違う二人です。しかし、人と人の親密さや愛情や優しさへの憧れ、切望という、おそらく私たちも抱いている共通点を持っているのです」と説明。

その上で、 「この映画を制作する過程で、ハンスとヴィクトールの関係に、何らかの定義づけが必要だと考える人たちがいました。でも、それは本当に重要なことなのでしょうか。全てのものに果たしてカテゴリーが必要なのでしょうか。 このふたりは精神の深いところで何か相通じて、それぞれが愛と自由に憧れを抱きながら出会うのです。どんなに強い弾圧があろうと、必ずや、その憧れの前に道は開けるだろう、そう私は考えています」と、ふたりの行く末を示唆するようなコメントを残している。

また、ダンサー・振付師でもあるハンス役のフランツ・ロゴフスキは、「これは”同性愛の映画”というだけでなく、ラブストーリーであり、人間ドラマでもあります。今回ハンスを演じる上では、いくつか身体的なアプローチを試したり、ハンスの人生における”本当の感情”や”絆”を見つけようとしました」と振り返った。

なお本作は2023年7月9日(日)、Bunkamuraル・シネマ 渋谷宮下での19:10の回の上映後に、ロングラン上映が続く映画『エゴイスト』の松永大司監督によるトークイベントを実施、チケットは7月7日(金)よりオンライン/劇場窓口にて発売開始(詳細は劇場HPなどで要確認)。

『大いなる自由』は2023年7月7日(金)より Bunkamuraル・シネマ 渋谷宮下ほか全国順次公開

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