農地取得で国籍把握へ 申請時に報告義務 農水省方針

農水省は9月から、農地の所有権を新たに取得する個人や法人に対し、国籍の報告を義務付ける方針だ。市町村の農業委員会に許可を申請する際に、個人の場合は本人の国籍や在留資格、法人の場合は役員や主要株主の国籍を報告するよう求める。外国資本による農地取得への懸念の高まりを踏まえ、農業委員会を通じて実態把握に乗り出す。

同省が農地法施行規則を改正する省令案を示した。8月4日までパブリックコメントを行っている。

新たに農地を取得する際の許可申請書の記載事項に、国籍を追加する。法人の場合は、①法人設立に当たり準拠した法の制定国②法人の議決権・出資の5%以上を占める主要株主・出資者名や国籍――の記載を求める。

農地を所有する法人が農業委員会に毎年行う報告でも、新たに国籍を確認する。農地所有適格法人の報告事項に理事や主要株主の国籍を追加。構造改革特区法の特例を使う法人にも報告を求める。

農地台帳にも国籍に関する情報を記録する。プライバシーに配慮し、農地中間管理機構(農地バンク)や市町村長に情報提供する際は国籍は外し、インターネットでも非公表とする。

同省は各農業委員会に外国資本の動向を毎年調査してきたが、現在は住所が外国など「外国人と思われる者」にとどまる。

中国資本などによる国土買収が問題となる中、与野党が対策を求めていた。4月には、国家戦略特区の兵庫県養父市に限定していた企業の農地所有の特例を構造改革特区に移し、希望する全国の自治体に認める法律が成立。衆参両院の委員会で、役員らの国籍の確認を求める付帯決議を採択していた。

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