創建千年を超える古刹、空から眺めれば ハリウッド映画「ラストサムライ」のロケ地、姫路・書写山円教寺

深い森の中で威容を誇る摩尼殿。京都・清水寺と同じ舞台造りが特徴的だ(ドローンで撮影)=姫路市書写

 木々がうっそうと茂る山道を進むと、巨大な木造建築が視界に飛び込んできた。京都・清水寺と同じ舞台造りの「摩尼殿(まにでん)」。むき出しの一枚岩の上で、崖にせり出すように立つ。上空から眺めると、無数の瓦が敷き詰められた屋根の美しさに加え、森の中にそびえる存在感に圧倒される。

 創建千年を超える古刹(こさつ)、書写山円教寺(兵庫県姫路市書写)。同じ宗派や規模の大きさから「西の比叡山」とも称される。荘厳な雰囲気や豊かな自然に恵まれ、ハリウッド映画「ラストサムライ」やNHK大河ドラマのロケ地にもなった。

 摩尼殿から西へ約300メートル進むと、三つの伽藍(がらん)がコの字形に並び立つ。本堂にあたる大講堂、かつての学生寮だった食堂(じきどう)、特別な修行をする道場という常行堂だ。この「三之堂(みつのどう)」はいずれも国重要文化財に指定され、静けさの中で厳かな空気をつくり出している。

 標高371メートルの山頂付近にある境内は、市街地よりも涼しく感じられる。大樹玄承(おおきけんじょう)住職(66)は「山は深緑の時期となり、心が落ち着くような光景が広がる。歴史ある建物が、悠久の自然と調和しているようだ」と目を細めた。(辰巳直之、上杉順子) 【書写山円教寺】966(康保3)年、高僧・性空(しょうくう)上人が開いた天台宗別格本山。兵庫県を代表する古刹(こさつ)で、仏像や伽藍(がらん)など約20の国指定重要文化財がある。西国三十三霊場の一つに数えられ、新緑や紅葉の名所としても知られる。JR姫路駅から路線バスと「書写ロープウェイ」を乗り継いで約40分。入山料500円。現在は県などによる大型観光事業「兵庫デスティネーションキャンペーン」の一環で、釈迦三尊像や四天王像などを公開している。本坊事務所TEL079.266.3327

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