「核禁条約批准し、廃絶の先頭に」 俳優・斉藤とも子さんが詩の朗読や講演 被爆者ら集会 

原爆小頭症の被爆者らとの交流を話す斉藤さん=長崎市岡町、長崎被災協地下講堂

 核兵器禁止条約の採択から6年を迎えた7日、長崎の被爆者4団体などでつくる「核兵器禁止条約の会・長崎」は長崎市内で集会を開き、被爆者ら約90人が核兵器廃絶と日本政府の同条約の署名・批准を訴えた。
 核兵器の開発や使用、保有などを全面的に禁じる同条約は1月現在、92カ国・地域が署名し、うち68カ国・地域が批准している。
 集会では午前11時2分に黙とうした後、同会の川野浩一共同代表(83)が同条約が採択された時の感動を思いおこし「日本は条約に加わり、世界の核廃絶の先頭に立つことを怒りを込めて要求する」と語気を強めた。俳優の斉藤とも子さん(62)が被爆詩人の故福田須磨子(1922~74年)の詩2編を朗読した。
 ロシアのベラルーシへの核配備や、核抑止論に立った先進7カ国首脳会議(G7広島サミット)の「広島ビジョン」に言及し「軍事大国の道を突き進むのではなく、条約に参加する道を追求して」とした集会アピールを読み上げた。
 長崎原爆青年乙女の会は7日、斉藤さんの講演会「被爆者と出会って」を市内で開き、約60人が斉藤さんの歩みに聞き入った。斉藤さんは1999年、被爆者を演じた舞台出演をきっかけに広島を訪問。その後、胎内被爆し、身体や知能に障害のある原爆小頭症の被爆者や家族らでつくる「きのこ会」と交流し家族史を記した。「人生に悩んでいた自分が被爆者たちとの出会いを通して、苦しみを乗り越えられる勇気をもらった」と涙ながらに話した。

核兵器禁止条約の批准を日本政府に求める川野さん =長崎市、長崎被災協地下講堂

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