今季4勝目を狙うトヨタがWECモンツァ初日最速。小林可夢偉「良いスタートを切ることができた」

 7月7日(金)、WEC世界耐久選手権第5戦『モンツァ6時間レース』の走行初日は各90分のフリープラクティス1回目と2回目が行われ、後者のセッションでトップタイムを記録したTOYOTA GAZOO Racing(TGR)の7号車トヨタGR010ハイブリッド(マイク・コンウェイ/小林可夢偉/ホセ-マリア・ロペス組)がこの日最速のクルマとなった。

 チームメイトのセバスチャン・ブエミ/ブレンドン・ハートレー/平川亮が乗り込んだ8号車トヨタGR010ハイブリッドも3番手につけ、現在トップにつけているマニュファクチャラー、およびドライバー選手権でのリードをさらに広げることを目指すTGRの2台は順調なスタートを切った。

 イタリアが誇る高速サーキットで計13台のハイパーカーが争うことになる第5戦モンツァ。シーズン後半戦のオープニングラウンドとなる今大会では、今季2023年にデビューした新型マシンたちも競争力を上げてきており、そのバトルはさらに激しさを増している。それを物語るように、このWECモンツァでは初日から上位8台が1秒以内に入る接戦となった。

 トヨタチームは可夢偉組7号車と平川組8号車、2台のトヨタGR010ハイブリッドの空力やメカニカルセッティング、使用するタイヤ、制御システムなどを比較し、レースウイークに向けた車両セットアップのベースを作るための作業に集中した。

 その中で7号車は夕方に行われたFP2で1分36秒363というタイムをマークし、前戦のル・マン24時間レースでポールポジションを獲得した50号車フェラーリ499Pを0.170秒抑えトップで初日を終えた。また、現在ドライバーズランキング首位につけるブエミ/ハートレー/平川組の8号車は、50号車から0.153秒差の3番手につけている。

路面温度が50度近くにまで上昇したFP2では、クルマのパフォーマンスだけでなく、タイヤのミディアムとハードの両コンパウンドの耐久性の分析が行われた。

■ドライバーコメント

●小林可夢偉(チーム代表/7号車トヨタGR010ハイブリッド)

「ル・マンの後、またトヨタGR010ハイブリッドをドライブできて良い気持ちです。今日はすべてが順調で、良いレースウイークのスタートを切ることができました」

「今日の優先事項は、2種類のタイヤコンパウンドをテストし、どちらが決勝で我々にとって最適となるか見出すことでした。クルマのバランス面でも進展が見られたので、この方向で進めていきます」

「ハイパーカー上位勢のタイム差は非常に小さいので、クルマのパフォーマンス向上に取り組む必要があります。明日もハードにプッシュし、予選の結果がどうなるか待ちたいと思います」

●マイク・コンウェイ(7号車トヨタGR010ハイブリッド)

「モンツァのような伝統的なサーキットでレースを戦うために、僕の好きな国のひとつであるイタリアを再訪できて嬉しく思う。走り始めからバランスは良かったので、今日はさらなるパフォーマンスを引き出すために一日を費やした」

「トヨタGR010ハイブリッドの感触はとても安定しているので、正しいタイヤを正しいタイミングで選択することが重要になってくると思う。ハイパーカー同士がコンマ数秒差で争っているのは素晴らしいね」

「予選も非常に接近したエキサイティングなものになると思うが、僕たちもベストを尽くし、日曜日の決勝で良い結果を残せるよう頑張るよ」

●ホセ-マリア・ロペス(7号車トヨタGR010ハイブリッド)

「トラブルなく、充分な走行距離をこなすことができた順調な一日だった。ラップタイムは非常に接近しており、それぞれのパフォーマンスを推し量るのは難しい」

「モンツァではブレーキングと空力での車両バランスがとくに重要であり、その面でも今日の2回の練習走行は有意義だったと言える。ここで速く走るためには、ブレーキングが安定し、最高速が速いクルマが必要だ。今日は暑い一日だったけど、日曜日はさらに暑くなりそうだ」

FP2でトップタイムをマークした小林可夢偉(7号車トヨタGR010ハイブリッド) 2023年WEC第5戦モンツァ6時間レース

●セバスチャン・ブエミ(8号車トヨタGR010ハイブリッド)

「モンツァに戻ってくることができ、本当に嬉しいよ。木曜日は雨だったけど、今日は好天に恵まれたので、このような好コンディションで多くの周回をこなすことができ、異なるタイヤセットや空力などを試せたのは良かった」

「2回の練習走行を終えた時点で見る限り、僕たちには競争力があると思うけど、まだレースウイークは始まったばかりだ。これからさらに作業を続け、走行データから学び、可能な限りクルマからパフォーマンスを引き出す必要があることはわかっている」

「ハイパーカークラスの争いは非常に僅差なので、レースウイークをトラブルなく、またミスなく進めていくことが重要だ」

●ブレンドン・ハートレー(8号車トヨタGR010ハイブリッド)

「クルマに大きなトラブルもなく、順調な初日でした。上位争いは非常に接近しているように見え、現時点で予選へ向けてどのチームが強いのかを予想することは難しい。5つの異なるマニュファクチャラーによる争いになるだろう」

「予選にも集中はするけれど、決勝はこれまでにないほどの接近戦になる可能性があり、もちろんそこで勝利することこそが最大の目標だ」

「僕たちは車両セットアップや異なるタイヤコンパウンドのテストをしながら、予定どおりにプログラムを進めている。まずは良いレースウイークのスタートを切ることができたよ」

●平川亮(8号車トヨタGR010ハイブリッド)

「今日の2回の練習走行を通してクルマのバランスを最適化するため、車両セットアップのためのいくつかのテストや、暑いコンディション下でのタイヤテストなどを行いました。決勝日はもっと暑くなりそうなので、タイヤにはさらに厳しい状況になるでしょう」

「これまでのところは順調で、トヨタGR010ハイブリッドもとても力強く感じています。すべての最適化を進め、決勝へ向けて準備を整えていきます」

セバスチャン・ブエミ/ブレンドン・ハートレー/平川亮組8号車トヨタGR010ハイブリッド(TOYOTA GAZOO Racing) 2023年WEC第5戦モンツァ6時間レース

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