橋本氏が船舶海洋工学会長 長崎県から初 「俯瞰的な視点で提言」 長崎大教授、元長崎造船所長 

「俯瞰的な視点で提言をしていきたい」と語る橋本氏=長崎市文教町、長崎大

 三菱重工業長崎造船所(長崎市)の元所長で、長崎大大学院工学研究科教授の橋本州史氏(69)が、日本船舶海洋工学会(東京)の会長に就任した。本県からの就任は初めて。
 同会には造船、海運関係の技術者や研究者ら約4千人が所属。1897年設立の造船協会が前身で、2005年に国内3地域の造船学会・協会を統合し発足した。造船工学や海洋工学を中心に講演やシンポジウム、提言活動の他、国内の優れた船舶に贈るシップ・オブ・ザ・イヤーの表彰もしている。
 橋本氏は長崎市出身で、1978年に三菱重工に入社。長崎造船所長や造船部門トップの交通・輸送ドメイン副ドメイン長などを歴任した。2019年から長崎大で大島造船所(西海市)の寄付講座「船舶海洋人材育成講座」を担当。今年4月からは大島造船所特別顧問も務める。
 会長には6月に就任。現在の国内造船業を取り巻く環境について、脱炭素化や自動運航船などの技術課題が山積し「かつての帆船から原動機への転換と同じくらいの大規模な変革期」と表現。21年の海事産業強化法成立で国の支援も始まっているが、人材不足が課題となっている。こうした中で「個々の大学や行政の研究機関、他の産業界とも連携し、俯瞰(ふかん)的な視点で海事分野の諸課題への分析、提言を行っていきたい」と語った。
 11月には長崎市尾上町の出島メッセ長崎で全国の会員約250人が参加する秋季講演会も予定している。

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