クラッシュ復活日は長与千種の亡き父100歳誕生日!40周年「運命は必然」 飛鳥とは「あうんの呼吸」

1980年代に女子プロレス界から社会現象を巻き起こした伝説のタッグチーム「クラッシュ・ギャルズ」の結成40周年記念イベントが10月1日に横浜市の横浜武道館で開催される。その発表会見がこのほど都内で行われ、長与千種(58)とライオネス飛鳥(59)が2度目の解散から18年ぶりに公の場で肩を並べたが、その席で、長与はイベント開催日と亡き父の誕生日が重なるという「運命」を明かした。そして、相方の飛鳥とファンに感謝の思いを伝えた。

開催日は会場のスケジュールに従って決まったのだが、くしくも、大きな意味のある一日となった。長与は「今回、会場が10月1日しか空いていなかったんですが、その日は、まさかの、亡くなった父の誕生日だったんです。すごくクラッシュを応援してくれた父の誕生日なので、『そう、きたか』と思いました」と驚きを示した。

その父とは、元ボートレーサーの長與(ながよ)繁さん。出身地である長崎県の大村競艇場(現・ボートレース大村)が始動した1952年に選手1期生としてデビューし、通算119走、20勝という成績を残した。引退後は大村市内で飲食店経営などをしていたが、2012年7月18日、すい臓がんのため88歳で亡くなった。

長与が中学生の時、父はボートレーサーになるように勧めたが、プロレスラーになる夢を追って上京した。その後の人生でも、時には正面からぶつかり合い、理解を深めていった父と娘。その亡き父の生誕100年となる誕生日と記念イベントが重なった。大きな節目が偶然一致するという奇跡。長与は「私たちは、運命を全部、必然として考えているので、ほんとにありがたいです」と感慨もひとしお。まさに、偶然は必然だった。

父に続き、飛鳥への思いも語った。

「若い時は年間300以上の試合をこなし、大人になっていく過程で、いろんな方々からお食事に誘っていただき、社会的な勉強をしていく中で、どんな高価な、いいお食事でも、緊張して喉に通っていかないというか、おいしいか、おいしくないのか分からないというか、『食事は誰と食べるかによって味が変わっていく』と思ったりする時に、ふと、『一番、自分が自分らしくいれて、なおかつ自分の嫌なところも、いいところも全部含めて、一番、分かってくれて、隣で黙って、さりげなくいてくれるのは誰か』と思った時に、ライオネス飛鳥しかいなかったんですね。たまに会っても(クラッシュ時代と)同じ立ち位置に並んでしまうとか、(飛鳥が)最初に話をしてくれて、自分がポケたりとか、『阿吽(あうん)の呼吸』がある。心地よさというか。そういった意味では、彼女(飛鳥)がいなければ長与千種はいなかったんだろうな、幸せにプロレスができなかったんだろうなと、50代になってから本当に痛感しました」

互いの健康を気にかける年代になった。

「若いヤンチャの時って、私たちも真剣にケンカしたこともあって、お互いに言い合い、思いをぶつけたこともあった。でも、今は『血圧、大丈夫?』とか『足の手術どうだった?関節、大丈夫?』とか、そういう体の心配をするようになった。(年を重ねても、体をケアしながら)自分たちはバージョンアップしている感じがするんですよね」

「炎の聖書」「嵐の伝説」といったヒット曲を連発したコンビも〝アラ還〟世代になったが、イベントでは再びリングで歌う予定だ。長与は「歌詞を1行たりとも間違えずに最後まで歌えるのかということと、(衣装が着られるように)これからダイエットに入らなきゃいけないんですけど、絶対、かまして、やりますよ」と宣言。飛鳥に「言っちゃったね」と笑顔で突っ込まれると、長与は「やせますよ!」と決意を新たにした。

そして、支えたくれたファンに感謝した。

「1980年代、目をキラキラ輝かせた少女たちが、たくさん会場に押し寄せてくれて、両手一杯に持ち切れない紙テープをうんと投げてくれて、その中で戦いを繰り広げてきた私たちと彼女たちの『物語』があった。40代、50代になった人たちが、これからの人生を楽しんでいくための、もう一回、きっかけを作る…という感じで来ていただけたらと思います。当時は女性ファンがクローズアップされていましたけど、男性のファンも結構いらっしゃったんですよ。男性の高血圧や更年期も大変と聞きますから、ここで発散しましょう。私たちも変わりますので楽しみにしてください」

天国の父、パートナー、ファンに見守られながら、長与は10月の本番に向けて、熱い夏を迎える。

(デイリースポーツ/よろず~ニュース・北村 泰介)

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