広がる「お悔やみ窓口」 行政手続き集約 茨城県内18市町導入、遺族「便利」

県内自治体で増えつつあるお悔やみ専用窓口=小美玉市役所

家族や親族が亡くなった後の行政手続きをワンストップで行う「お悔やみ専用窓口」が茨城県内で広がっている。当事者が亡くなった後の手続きは死亡届をはじめ、年金や相続関係など幅広く、窓口一本化で家族らの負担を軽減。既に18市町で導入されており、利用者から「便利で助かる」と好評だ。

県内では2020年4月、小美玉市が初めて導入。「おくやみデスク」と銘打った窓口の開設後は、遺族の約9割が窓口を利用して手続きするという。

同窓口では死亡届の受理後、故人の名前などを各部署へ通知して必要な手続きを集約。約1週間後には、来庁時の持参品リストや手続き内容、窓口の予約案内などが記載された書類が届出人に送られる仕組みとなっている。

市によると、これまでは喪主など家族が、故人の市税や固定資産税、土地の相続、年金関係などの手続きで庁内各部署を訪れねばならず、半日かかることも珍しくなかった。窓口導入後は、職員1人が各手続きのリストに従って対応。家族は庁舎内の移動が不要になり、手続き時間も約1時間~1時間半で済むようになった。

同窓口を利用した女性(48)は「(手続きについて)何も分からなかったので、1カ所で済んで助かった」とほっとした表情を見せた。市職員にとっても、家族からの問い合わせ先が一元化されたことで、当該部署の負担軽減につながっているという。

窓口サービス一本化の取り組みは同年、取手市が7月、日立市も10月にそれぞれ導入。県内44市町村のホームページ(HP)によると、小美玉市の導入以降、3年余りの間で17市町が同種サービスを展開。専従職員を配置したり、各課の担当者が入れ替わりながら対応したりするケースが多いという。

電話中心の予約方法が多い中、複数の選択肢を設ける自治体も。古河市と常陸太田市は市HPから申し込み可能で、龍ケ崎市はメールと無料通信アプリ「LINE(ライン)」から予約できる。

同市は「電話と異なり、ラインやメールなら24時間いつでも予約できる。忙しいご遺族が利用しやすくなるよう導入した」としている。

© 株式会社茨城新聞社