放置自転車 どうなるの?/弘前・城西大橋下 300台保管/一部は中古車 多くは処分

城西大橋の下にある放置自転車保管所。300台以上の放置自転車が「再出発」の時を待つ=6月26日、弘前市南袋町
弘前駅中央口駐輪場で保管していた放置自転車を、トラックに積み込む市の指導員ら=6月16日

 弘前市役所地域と城西団地方面を結ぶ城西大橋の下に、市の放置自転車保管所がある。300台にも及ぶ古びた自転車は、この後どうなるのか。関係者に聞いてみると、ここは「自転車の墓場」ではなく「再出発のための待機場所」だった。

 6月16日、弘前駅中央口付近。雨が降りしきる中、かっぱを着た市の放置自転車指導員と市シルバー人材センターの60~80代の4人が黙々と、自転車をトラックの荷台に並べていった。

 回収した自転車は全部で38台。指導員の小沢修さん(69)は「駅の駐輪場を倉庫代わりに使っている人がいる。トラックに載せるのは骨が折れる」と話した。

 置かれている自転車をやみくもに回収しているわけではない。駅中央口地下駐輪場でいったん保管し、弘前署が、盗難届が出ていないか確認する。自転車に貼られているシールにある防犯登録番号から所有者を割り出し、はがきで自転車を保管していることを伝える。それでも持ち主が現れない自転車は昨年度、229台に上った。減少傾向にあるものの、取りに来る確率は3人に1人という。

 持ち主が見つからず指導員が回収した自転車は、全て橋の下の保管所へ。1年以上保管された後、年に1度、中古自転車を取り扱う業者の競売にかけられる。状態のいいものは200、300円ほどで売られ、修理を施した後、中古車として再度店頭に並ぶ。

 市内で「一戸サイクル」を営む一戸康秀さん(62)は「新品の自転車は年々値上がりしているので、中古自転車の問い合わせはすごく多い。頻繁に競売を開いてくれれば」と希望した。

 ただ、条例で定めた放置禁止区域内で回収した自転車しか競売にかけられないため、昨年度出品されたのは31台。実際に売れたのは12台で市の収益は3080円だった。それ以外の自転車は鉄くずとしてリサイクルされるが、年間の処理費用は約14万円かかり、競売の収益では補えない。

 放置自転車の処理を担当する市地域交通課の倉光諒心(りょうご)主事は「年々放置自転車は減っているが、依然一定数が発生している。処分も費用がかかるので放置しないでほしい」と訴えている。

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