県内初「みどり認定」 鹿沼のイチゴ農家・江俣さん 有機質資材活用 化学肥料削減へ

県上都賀農業振興事務所の中里所長から認定通知書を受け取る江俣さん(左)

 【鹿沼】上石川のイチゴ農家で県農業士の江俣伸一(えまたしんいち)さん(65)が、「みどりの食料システム法」に基づく県の環境負荷低減事業活動実施計画(みどり認定)の認定を受け、認定書授与式が7日、江俣さん宅で行われた。堆肥などの有機質資材の使用による土づくりと化学肥料・化学農薬の使用減少に取り組む計画で、県内の農家が「みどり認定」を受けるのは初めて。

 みどり認定は、環境への負荷を低減させる農業者の取り組みを支援するため、県が同法に基づき農林漁業者などが作成する環境負荷低減事業活動実施計画を認定する仕組み。本県では県と25市町で作成した「とちぎグリーン農業推進方針」で定める取り組みが対象で、申請が認められると、環境負荷低減に必要な機械・施設を導入する際の税制優遇や農業改良資金の返済期間延長などの措置を受けられる。

 江俣さんは半世紀続くイチゴ農家の3代目で、約40アールの農地でとちあいかを生産。肥料の価格高騰などを受け、以前から堆肥の使い方などを研究してきた。

 計画期間は7月から5年間。堆肥などの活用で化学肥料を3分の2に削減するほか、ダニやアザミウマなどの病害虫防除に利用される天敵を含む「生物農薬」を使用し、化学農薬の散布回数を22回から14回に減らすことなどを盛り込んだ。

 認定書授与式で、県上都賀農業振興事務所の中里茂(なかざとしげる)所長から認定証を受け取った江俣さんは「認定を受け、今まで以上に良品質で安全安心な作物作りにまい進したい」と抱負を述べた。

。中里所長は「今回の認定は、今年3月に作ったとちぎグリーン農業推進方針の具体的施策の第1号となる。今後も積極的に周知をしながら認定を進めていきたい」と申請の広がりに期待を寄せた。

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