全盲の白鳥さんと一緒に絵画鑑賞 感想を聞いて想像、山形でワークショップ

 全盲の美術鑑賞者・白鳥建二さん(53)=水戸市=と一緒に絵画などのアートを鑑賞するワークショップが7日、山形市内のギャラリーで開かれた。友人らの「見たまま」の感想などを作品の前で聞いて、会話から想像を膨らませるのが白鳥さん流のアート鑑賞。この日は、参加者6人が障害者施設利用者による作品を白鳥流の鑑賞で楽しんだ。

 白鳥さんはデートで美術館に行ったことをきっかけに「全盲でもアートを見ることができるかも」と思い、二十数年前から美術館に通う中で独自の鑑賞方法を編み出した。現在は各地の美術館でワークショップなどのナビゲーターも務める。白鳥さんとのアート鑑賞体験をつづった書籍「目の見えない白鳥さんとアートを見にいく」(川内有緒さん著)が原案の映画が、7日から山形市内で上映されている。

 ワークショップでは初めに白鳥さんが「作品に関することなら何を話しても大丈夫」「最初はタイトルなどは見ずに、目の前にあるものから会話を始めて」などと説明。最初に鑑賞した「もりおかさん」という作品では「山のような顔がある」「目力がすごい」といった印象から「絵の具の厚い所がある。強調したかったのかな」といった発見も。白鳥さんの相づちや笑いに促されるように、時間を忘れていろんな視点からの会話が飛び交った。

 鑑賞後の振り返りで、参加者は「同じ絵を見てもこんなに感じ方が違うんだと新鮮だった」「ぱっと見ただけでは気付かない、描いている人の風景を考える時間になった」などと楽しさを実感。白鳥さんは「見方は一致しなくてもいい。それが面白い」と話していた。

 映画はフォーラム山形で13日まで上映しており、9日午前10時の回上映後には白鳥さんらによる舞台あいさつがある。

© 株式会社山形新聞社