袴田さん支援者ら検察に強く反発 「恥の上塗り」衣類が再審焦点

5月、再審制度関連の集会であいさつする袴田巌さん。右は姉のひで子さん=東京都内

 1966年に起きた静岡県清水市(現静岡市)の4人殺害事件で死刑が確定し、裁判やり直しが決まった袴田巌さん(87)の再審公判で、検察が有罪立証する方向で最終調整していることが8日明らかになり、袴田さんの支援者らは「恥の上塗り」などと強く反発した。検察は確定判決で「犯行の着衣」とされた5点の衣類の変色状況などを補充捜査。有罪立証可能とみているもようで、衣類の評価が再審で再び焦点となる可能性がある。

 衣類は事件から約1年2カ月後、血痕の赤みが残った状態でみそタンクから見つかった。3月の東京高裁決定は弁護側の実験結果などに基づき、こうした状況で「衣類に赤みは残らない」と判断。捜査機関側が証拠を捏造した可能性が極めて高いと指摘した。支援者の山崎俊樹さん(69)は「また有罪と主張をしても恥の上塗りをするだけ」と憤る。

 最高裁への特別抗告は憲法違反や判例違反がある場合に限られる。高裁決定後、検察は「承服しがたい点があるものの、申し立て理由があるとの判断に至らなかった」(幹部)として断念し、再審開始が確定した経緯がある。

© 一般社団法人共同通信社