60~65歳は年金生活を「幸せ」か「苦しい」ものにするかの分かれ道。老後を安泰に過ごすためにやるべきこと

60歳の定年を迎えて、その後は再雇用。その再雇用も65歳には終わるのが一般的です。65歳からは年金生活とシミュレーションしているのではないでしょうか。これがもっとも多いパターンでしょう。

だからこそ、60歳から65歳までの暮らし方がとても重要になってくるのです。この時期の生活・暮らし方が、その後の年金生活を幸せなものにする、それとも苦しいものにするかの分かれ目になるといってもいいでしょう。

では、この再雇用の期間は、どんな生活・暮らし方をすれば、幸せな年金生活が過ごせるのかを考えてみましょう。


再雇用の期間は、年金生活のための助走期間?

会社員の方は、50代半ばから、どんどん収入が減っていくのが一般的です。50代半ばでは役職定年のため、年収が2割減り、再雇用では4割減り、年金生活では半分になるケースもあります。その先には、企業年金の支給が終わり、配偶者が亡くなり世帯収入が減ることになります。つまり定年後は収入が増えることは少なく、減るばかりなのです。ですから、定年後は収入が減っていくことに備える必要があります。

年金生活になって収入が減ったときの補てんとして使うのが、老後資金です。いったいどのくらい必要なのかは、家計の状態によって異なります。たとえば、毎月10万円の赤字の家庭は、年間120万円です。65歳から95歳まで生きたとすると3600万円も必要です。かなりの金額ですが、さすがにこれだけの金額を準備できる人は少ないかも知れません。
では、どうすればいいのでしょう? じつは、60歳から65歳までの再雇用の期間に準備しておくと、うまく乗り切ることができるのです。

資産運用で増やすのは、不確定な要素が多い

老後のお金について「老後資金は運用して増やすことで備える」という情報がよく見られます。たしかに運用して増やすことで、老後資金のために準備する金額を減らすことができます。

3%や5%、7%で運用できれば、それに越したことはありません。しかし、現実はどうなるのかわかりません。それに、すべての人が運用に成功するかどうかもわかりません。
もし運用に失敗をするともっと困ったことになる可能性もあるわけです。ここは、確実な方法を考えましょう。つまり、「節約」です。

老後資金の運用は、不確定な要素が多いのです。過去の長期のデータを見ると確実に増えていきますが、ときにはリーマンショックなど大きく下げることもあります。それに比べて節約は、かなり確実な方法だといえます。運用だけで年間10%の増額は、プロのファンドマネージャーにとっても超至難なことです。一方、家計の経費を10%削減するのは、家計のムダを見つけて削減するので、比較的実現可能なことではないでしょうか。

資産運用よりも節約の方が確実に貯蓄を増やせる

定年後において、貯蓄を増やすというのは、「倹約する」ということなのです。例をあげてみましょう。

Aさんと、Bさん、65歳の年金暮らしをする同じような家庭が2つあります。Aさんの老後資金は1000万円あり、積極運用して年平均5%の運用に成功しました。Aさんの年金受給額は年300万円、家計の支出は現役時代と同じ年間500万円です。Bさんも同じく、老後資金は1000万円あり、安全運用で年平均1%の運用が成功しました。Bさんの年金受給額は年300万円、家計の支出は、節約して300万円です。

70歳の時点で、AさんとBさんの家計事情はどうなるかというと、Aさんの家計は70歳の時点で、老後資金を全部取り崩してしまい、1000万円以上の赤字になってしまいます。一方、Bさんの家計は、毎月の収支のバランスがあっているので、順調に貯蓄を増やすことができて、70歳時点で約50万円のお金を増額することに成功しています。

資産運用も大切なのですが、それよりも家計の節約がいかに大切なのかがわかると思います。運用をして増やせるのは、うまくいって平均5%ぐらいではないでしょうか。ところが、家計の節約はやる気になれば、20%、30%を削ることが可能なのです。しかも、固定費の削減に成功すると、その効果はずっと続きます。

将来の年金額にあわせて収支のバランスを取る

あたりまえの話ですが、収入より支出が多いと家計はつねに赤字です。その分は貯蓄で補います。ですから現役時代と同じような支出を続けていれば、すぐに老後資金はなくなってしまいます。将来の年金受給額にあわせた生活をする必要があるのです。それが、60~65歳、定年後の再雇用の期間なのです。この期間に年金受給額の生活に移行していく必要があるわけです。

現役時代に高所得だった人ほど、この移行が難しくなります。支出から「見栄」とか「エゴ」を引いた金額に変えていく必要があるのです。そして、収入と支出のバランスを取ることができれば、老後生活は安泰に過ごせるのです。

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