福士蒼汰、海外ドラマ初挑戦で感じた成長「英語を話せる、話せないの問題ではなくて…」

世界で放送・配信中の大型国際連続ドラマ、Huluオリジナル『THE HEAD』Season2に、メインキャストのひとり、ユウト役で出演している福士蒼汰にentaxが独自インタビュー。幼少期から憧れてきた海外作品への初挑戦を経て、彼自身にどんな変化があったのか。スペインで行われたオール海外ロケに単身参加した日々を、改めて振り返ってもらった。

■台本はすべて英語! 日本語訳に頼らず「全部英語で理解したい」

――海外作品に出演するのが夢だったそうですが、憧れたきっかけを教えてください。

小学校の頃、地球儀を見たときに日本の小ささを知って、外に出てみたいなと漠然と思ったんです。そのあと、中学校の英語先生が「あなたの発音、すごくいいよ」と褒めてくれたことが嬉しくて、英語に興味を持ち始めました。この言語を話せるようになれば世界中の人とも話せるんだな、と気づいてからは、自ら勉強するようになって。高校で俳優を始めて、自分の行きたかった“海外”、やりたかった“英語”を全部まとめて仕事としてできたらいいなと思うようになり、海外作品に挑戦することが目標となっていきました。

――今回の出演を聞いた瞬間のお気持ちは?

出演のお話をいただいたときは、“海外に挑戦したいという夢がやっと叶うんだ”と嬉しい思いでいっぱいでした。でも、スペインでの撮影に参加してほしいと言われていた時期が、僕の舞台公演と重なっていたんです。今回はスケジュールの都合で難しいかもしれないという状況でしたが、どうしても参加したい気持ちが強かったので、なんとか調整していただいて。舞台が大千秋楽を迎えた翌々日にはスペインに向かう飛行機に乗らなければならなかったので、毎日舞台公演をしながら英語の準備もしていきました。簡単なことではないと自覚していましたが、やはり海外作品への夢をかなえたいという気持ちが大きかったので、ネガティブな感情はなかったように思います。緊張や不安も少しあるけど、むしろワクワクする気持ちで『THE HEAD』は始まりました。

――実際に台本を手にしてみて、いかがでしたか?

これまでにも海外作品のオーディションを受けたことがあったので、英語の台本を読んだことはありましたが、全6話ある台本を1から読むという経験ははじめてでした。まったく知らない言葉がたくさん出てくるので、すべてを理解するのには時間がかかりました。でも、日本語訳だとニュアンスが違うこともあるので、やはりすべて英語で理解したいなと思って。わからない単語を調べては理解する、という勉強を繰り返す日々でした。
セリフに関しては、長い専門的な用語が難しくて、舞台公演の前後にもずっとセリフを練習しているような状況で(笑)。そのくらい自分に浸透するように、何百回、何千回とセリフを言って覚えました。あとはアクティングコーチに英語の発音と、英語でのアクティング・アプローチの仕方を教わりながら準備を進めていきました。

■山下智久の芝居に刺激「自分にできるのか」

――Season1に出演された山下智久さんのお芝居から刺激を受けることはありましたか?

Season1が配信された当初、僕は一視聴者として作品を見ていました。山下智久さんにとってのはじめて海外作品ということだったので、“すごいな”という気持ちで見ていました。まさかその数年後に自分も出演することになるとは想像もしていなくて。Season2への出演が決まったときに再度見返したのですが、自分に本当にできるのかという不安な気持ちも押し寄せてきました。

――山下さんとは、どんなお話を?

以前から交流があったので、「『THE HEAD』Season2に出演することが決まりました」と連絡させていただきました。山下さんからは「プロデューサーも監督もすごくいい方だし、キャストのみんなもすごくいい雰囲気だったから、きっと福士くんも安心してできると思うよ」と、アドバイスをいただきました。

――演じるユウトの“日本らしさ”という部分について、福士さんからご提案されたことはありますか?

パソコンの画面がアニメだったり、ジャパニーズヒーローのフィギュアが置かれていたり、海外から見た日本のイメージのようなものが散りばめられているのですが、全て現地のスタッフが用意してくれたものです。それだけで日本人だとわかりやすいし、日本の文化が表れていていいなと思いました。僕から提案したことと言えば、「キター」など、ユウトが感情的になると日本語で話すところです。それから、キャストのみんなで「それぞれの国の言葉で“乾杯”ってなんて言うのかな?」という話になったときに気に入ってくれたのが、日本語の「カンパーイ」。第一話を見ていただければわかりますが、本編でもこの「乾杯」が使われています。

■カーニバル、プール、オールドタウン…キャストと過ごしたスペインでの日々

――スペインではどんな生活を送っていましたか?

時間があるときには、とにかく“台本を読んで暮らす”という感じでした。キャストのみんなとご飯を食べに行くことも多かったです。テネリフェ島ではカーニバルへみんなで参加したり、オーシャン・プールやオールドタウンに行ったり。結構、キャストのみんなと過ごす時間も多かったので、充実していたと思います。
ただ、英語ですべてのコミュニケーションを取ることは、やはり大変でした。言語だけではなくコミュニケーションの仕方も違うので、最初の1ヶ月はみんなの会話を聞いていて“なんとなくこういう話をしているんだろうな”とわかっても、なかなか会話に入れなかったんです。でも、2ヶ月目くらいから徐々に慣れてきて、自然と輪の中に入れるようになって。苦労もしましたが、同時に成長できていることも実感することができたので、貴重な経験になりました。

――自分から意識的に話しかけていこう、というマインドで?

“オープンでいよう”という気持ちは忘れないように心がけました。海外の方は気さくに話しかけてくれるので、こちらも常にオープンでいて“何か誘われたら必ず行くようにしよう”と。あまり引きこもらないように過ごしました。

――本作に参加したことで、ご自身の中にどんな変化がありましたか?

いろんな変化がありますが、やはりコミュニケーションの部分が大きかったです。英語を話せる、話せないの問題ではなくて、仕事をする上でのコミュニケーション能力が、今回の2ヶ月で鍛えられたんじゃないかなと思います。

――最後に、読者へのメッセージをお願いします。

僕の海外初挑戦作品でもありますし、自分自身、ユウトというキャラクターを生き生きと演じられたと思っています。吹き替え版でも僕がユウトの吹き替えを担当しているので、ぜひそちらもご覧ください!

■Huluオリジナル『THE HEAD』Season2

Huluにて独占配信中 毎週土曜、新エピソード追加(字幕版・日本語吹替版/全6話)
出演:ジョン・リンチ、キャサリン・オドネリー、ホヴィク・ケウチケリアン、モー・ダンフォード、ジョゼフィン・ネルデン、オリヴィア・モリス、福士蒼汰ほか
エンディングテーマ:山下智久 『DANCING IN A DREAM』

【福士蒼汰 Profile】
1993年5月30日生まれ、東京都出身。2011年、ドラマ『美咲ナンバーワン!!』で俳優デビュー。同年9月、『仮面ライダーフォーゼ』でテレビドラマ初主演。2015年、第38回日本アカデミー賞 新人俳優賞を受賞。主な出演作に、ドラマ『神様のカルテ』『アバランチ』『弁護士ソドム』、映画『BLEACH 死神代行篇』、『旅猫リポート』などがある。配信中のHuluオリジナル『THE HEAD』Season2で海外作品初出演。また、シーズン1での好演が話題となったNHKドラマ10『大奥』のシーズン2への出演も控えている。

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