声出し応援、復活 コロナ禍で4年ぶり 高校野球茨城大会が開幕

4年ぶりに声出し応援が解禁され、全校生徒で声援を送る下館一高の生徒たち=ノーブルホーム水戸

〝制限のない夏〟が4年ぶりに戻ってきた-。8日、水戸市見川のノーブルホーム水戸で開幕した第105回全国高校野球選手権記念茨城大会のスタンドには、マスクを外して思う存分大声を張り上げ、球児に熱いエールを送る応援団や観客たちの姿があった。コロナ以前のスタンド風景が広がっていた。

政府が新型コロナウイルスの感染症法上の位置付けを「5類」に移行したことを受け、球場での感染対策も緩和。2020年から制限されていた声出し応援が再びできるようになった。

高校野球の大会はコロナ禍で、20年のセンバツ、夏の甲子園が立て続けに中止となった。同年夏は茨城県独自大会を無観客で開催。21年夏は2年ぶりに茨城大会が開催されたが「5千人以下または収容人数の50%以下」の観客制限下での実施だった。22年は全校応援が復活したが、声出し応援は禁止されたままだった。

■湧くスタンド

下館一高とつくば工科・つくばサイエンス高による開幕試合。ともに全校応援で、鳴り響く太鼓のリズムに乗り、メガホンを持った生徒らの声が球場に響き渡った。本来の応援風景が久しぶりに戻り、約20年前から毎年試合を見に来ているという茨城県常陸太田市、松本昌夫さん(69)は「声の応援があると雰囲気が違う。これが高校野球」と話し、熱気に包まれたスタンドを見回した。

下館一高は生徒約800人が参加。有志の応援団員約50人をはじめ吹奏楽部やチアリーディング部が生徒の応援を導いた。応援団は曲に合わせてキレのある振り付けを披露した。応援団長の高久裕樹さん(3年)は「声援を届けられて気持ち良かった」と達成感あふれる表情だった。

つくば工科・つくばサイエンス高は生徒約450人が参加。応援団員9人が大太鼓と声援でスタンドを盛り上げ、得点機には生徒全員総立ちに。「ファイトー」「ドンマイ!」と声援が飛んだ。試合は敗れたが応援団長の山田緋龍さん(3年)は「頑張る選手を見て、熱い気持ちになった」。

■初めてづくし

開会式の入場行進や、試合後の校歌斉唱、校旗掲揚も4年ぶりに復活した。

入場行進で霞ケ浦高のプラカードを掲げ、選手を先導した水戸女高の増田穂佳さん(3年)は、入学当初からの憧れをかなえ「『すごい』ということしか考えられなかった」。初めて入場行進をした石岡一高の吉田剛士主将(3年)は「大会に参加している実感がわいた。コロナの制約を受けた先輩の分も頑張る」と誓った。

開幕戦を制し、初めて球場で校歌を歌った下館一高の渡辺慶太主将(3年)は「コロナの影響で先輩も自分も校歌を歌ったことがなかった。ぜひ、もう1回歌いたい」と汗を拭った。

マスクを外し、声出し応援をするつくば工科・つくばサイエンス高の応援席=水戸市見川

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