【「アラクオ」リレーインタビュー最終回】佐藤大樹を支える“先輩”・TAKAHIROや“戦友”・FANTASTICSのメンバーの存在、作品に懸ける思いを語る

EXILE/FANTASTICSの佐藤大樹さんが地上波連続ドラマ単独初主演を務める新ドラマ「around1/4(アラウンドクォーター)」(ABCテレビ・テレビ朝日ほか)。かつてのアルバイト仲間だった新田康祐(佐藤)、平田早苗(美山加恋)、橋本明日美(工藤遥)、横山直己(松岡広大)、宮下一真(曽田陵介)ら5人が、アラサー前の25歳=アラクオを迎える中、それぞれが直面する“25歳の壁”、そして“恋の分岐点”にフォーカスを当て、人生と恋に悩み傷つき過ちを繰り返しながらも自分なりの乗り越え方を見つけていく姿を、等身大のキャラクターとリアルなセリフとともにみずみずしく描いていく。

TVガイドWebでは、クランクイン前に敢行したドラマ「アラクオ」(「around1/4(アラウンドクォーター)」)を彩るメインキャスト5人のリレーインタビューを公開中。最終回は、一見明るくてノリのいい人物に見えるものの、実は25歳の惑いの真っただ中にいる広告代理店営業マンである主人公・新田康祐を演じる佐藤大樹さんが登場。ドラマ主演に「気合は十分」と意気込む佐藤さんだが、自身の25歳には忘れられない悔しさがあるという。佐藤さんの熱い思いを、ロングインタビューとして余すことなくお届けする。

クランクアップの日に思わず涙!? 憧れの先輩との初共演の思い出を語る

――「around1/4」というタイトルを聞いた時はどんなことを感じましたか?

「僕自身、正直この言葉の存在自体を知らなくて、“アラサー”や“アラフォー”というのは聞いたことがあって『刻むなぁ!』とは思っていたんですけど、ついこの間までアラクオだったので、背伸びせずに演じきることができそうだなと思ったのが最初の印象ですね」

――原作を読まれたと伺いましたが、どんな印象を持たれましたか?

「登場人物の目線がコロコロ変わって、展開も早いから飽きないというか、『この人はこの時こう思っていたんだ』と後で(伏線を)回収してくれるので、すごく丁寧で分かりやすかったです。例えば4巻を読んだ後に、1巻のみんなでしゃべっているシーンを読めば、『この人はどういうことを考えていたんだろう?』ともう一度考え直して読み返すことができたので、気づいたら読み終わっていました。作者の方がアラクオの頃に描いた作品だと聞いていて、すごく才能にあふれた方が書いているんだろうなと思いましたし、その人が経験してきたことがもしかしたらどこかに反映されていたりと、そういうことがあるんだろうなとも思いましたね」

――作品のストーリーとしては、“25歳の壁”にぶつかるところも描かれます。そういった部分を含め、ストーリー展開や魅力についてはどのように感じましたか?

「自分が25歳の時はもう芸能界に入っていたので、『自分が入っていなかったらこういう日常生活や恋愛を送っているんだろうな』と思いました。自分が演じる康祐は、登場人物の中でも僕の中でも素に近いというか、チャラそうに見られるけど『そうじゃない一面もあるのにな…』と思いつつ、それを隠している感じはすごく感情移入できたので。ただ、今回ドラマとなると、原作と異なる部分もたくさんあって、康祐なりの悩みやコンプレックスが非常に反映されていて、しかも新しく作った設定として出来上がっているので、そこもドラマの魅力ですね」

――今作で地上波連続ドラマ単独初主演となります。意気込みというのも大きいのではないでしょうか?

「そうか! ダブル主演はありましたもんね。見出しが1個できた(笑)。今まで自分が映画や舞台で主演をやった時って、自分より年上のキャストの方がメインキャストとしている中で、自分が座長としてやらなければいけない部分が多かったので、少し自分も戸惑いがあったんですけど、今回はメインキャストの中だったら自分が最年長になるので、そういう意味でも引っ張っていきやすいかなと思いますね。みんな世代が近いので、カメラが回っていないところや休憩時間も自分から積極的にコミュニケーションを取りにいって、現場を盛り上げていきたいです。『座長!』と呼んでもらえるように、LDH総動員でとにかく差し入れもいっぱいしたいなと思います(笑)。高級焼き肉弁当など男らしいものを挟みつつ、スイーツとかも入れられたらなと思っています」

――かなり気合も入っていますね。主演が決まった時は素直にどんなお気持ちでしたか?

「すごくうれしかったですし、いろいろなドラマに出させていただいたけど、確かに主演という肩書は約1年ぶりで『そうか、(主演は)久々だな』と思いましたね。すごくやりたかったものでもあったので、単純に夢がかなってうれしいなっていう気持ちがありました」

――主演作品は佐藤さんにとってどんな意義を持っているのでしょうか?

「『主演というのは誰でもできるわけじゃない』というのはすごく自負しているし、でもその分、負わなきゃいけない責任も大きくて、よくも悪くも全部自分に振りかかってくるんだろうなというのは、いい意味で自分はプレッシャーとして捉えています。だからこそ盛り上げたいし、いろいろな人に見てもらえるように頑張らなければいけないと思っています」

――「コミュニケーションを取っていきたい」というお話もありましたが、これまでの現場での主演としての過ごし方として何か意識はされていましたか?

「初めてドラマをやった時は、正直そんな余裕はなくて。やらなきゃいけないことが多くて、あまり主演っぽいことはできなかったんです。でも今回は、その時よりはキャリアも積んで、座長っぽいことができるのかなと思うので、積極的にコミュニケーションを取りにいきたいですし、もともと知っている方もいるので、そういう方々の力も借りながら、和気あいあいとしていきたいです」

――LDHグループの先輩方も主演経験者が多くいらっしゃいます。先輩方の活躍はどのように映っていますか?

「めちゃくちゃ憧れですし、昔はドラマの専用ジャージーや専用Tシャツを作ってスタッフやキャストにプレゼントしているような場面を間近で見ていたので、『やりたい!』と思うんですけど、自分の若さじゃまだできないですね(笑)。でも、そういう姿が格好いいんですよ。常に引っ張っていっているし、背中で語るような人もいれば、自分から話しかけにいってムードメーカー的に盛り上げる人もいて。自分は後者なのかなと思っています」

――いろいろなタイプがいる中で、一番憧れの先輩を教えてください。

「座長として『この人めっちゃすごいな』と思った先輩はTAKAHIROさんです。日曜のゴールデンタイムで初めてTAKAHIROさんが主演をやった時に僕も出させていただいて、ちょうどEXILEに入った年だったんです。当時は『この人のことを座長っていうんだな』と思っていましたね。カメラが回っている時もずっと笑わせてくれて、スタッフさんともコミュニケーションを取っているけど、スイッチが入った時はバシッとやる。差し入れもたくさんしてくださっている姿を見ていたので、本当に太陽みたいな存在だったなと、間近で見て思っていました」

――EXILEに入ったその年にTAKAHIRIOさんと共演できたことは、かなり刺激を受けたのではないでしょうか?

「めちゃくちゃ受けましたし、そのドラマもその枠の1発目だったんですよ。それで自分がいきなりゴールデン帯に出させてもらって。初めて泣いたんですよ、クランクアップの日に(笑)。『明日から会えないのか…』って思ったらすごく寂しくて、でもよくよく考えれば会えるんですけどね(笑)。当時は全12話で3カ月くらい一緒にいたから、そのドラマにはみんな並々ならぬ思いで臨んでいたし、スタッフさんともすごく仲が良かったから、僕の目にはめちゃくちゃ頼もしく映っていましたね」

――経験値としてもかなり積まれたんですね。そこから10年近くたちますが、これまでの個人での活動を振り返って今思うことはありますか?

「すごくありがたいことに、自分のやりたいことをたくさんやらせてもらっているなと思います。お芝居でいうと、掲げていた主演としてのドラマや映画だったり、舞台や声優もやらせていただけて、今のところ『この年までにやりたい』と目標としているものはかなえられているので、次のステップに進みたいなと思っている時期です」

――FANTASTICSではリーダーとして世界さんとグループを引っ張っていますが、グループのリーダーとしての集団の見方、ドラマ現場の座長としてのチームの見方で違いというのはありますか?

「やっぱりグループとしている時は、雰囲気作りももちろんなんですけど、表に出る時の発言だったり、ライブ前にみんなで気合入れをする時の円陣だったり、そういった形式的な部分も、みんながリーダーという意識を持ちながらやっているのがFANTASTICSなんです。でも(ドラマの)現場で座長になると、どうしても周りのスタッフの方々が立ててくれて、盛り上げてくださるので、それに応えなきゃなと思います。言葉を通して視聴者に見てもらうのが座長の仕事というか、撮り終わった後に頑張るのはキャストの仕事だと自分は思っているので、そこはより一層、責任持ってやりたいなと思っていますね」

――ドラマ版「アラクオ」では原作とは少し違った展開も用意されていると伺いましたが、脚本にはどんな印象を持たれましたか?

「このドラマって、1人で見た時に『なんか分かるわ』といえるポイントがたくさん出てくると思うんです。自分が抱えている人には言えない悩みって誰しもあると思うけど、第1話でも登場人物みんなの裏の顔と表の顔がすごく垣間見えてきて、『主人公以外のキャストもどう思って接しているんだろう』ということが気になる展開になっていると思っています。そういった意味でも続きが気になると思うし、言ってしまえば、本当に攻めているなと思いました(笑)。台本1ページ目からとにかくテンポがよくて、初回にぴったりな『おお、すごいドラマが始まったな』と思ってもらえる内容なので、興味ある方もない方も、第1話はとりあえず見てほしいです。第1話ってだいたい主人公だけにフォーカスが当たりがちなんですけど、そうではなく、いろいろなキャストにフォーカスを当ててオムニバス的な描かれ方をしているので、『このキャスト気になる』という感じでお気に入りの推しキャラを見つけやすい第1話になっていると思います」

――「かなり攻めている」という言葉を体現するように、ドラマはかなり刺激的なシーンからスタートしますね。

「そうですね。濡れ場といわれるシーンはやっぱりすごく難しいなと思っていて。ドラマの中でも、泣くシーンと同じぐらい難しいと思うんです。でもそういうシーンもたくさんあるからこそ、ずっと飽きないし、それぞれのそういったシーンでも全然見え方が違うと台本を読んで僕は思ったので、今まで見たことないドラマになるんじゃないかとは間違いなく思いますね。特に、第1話からこんなにワクワクさせてくれる展開は、近年まれに見るんじゃないかなと。原作とは違う良さが今回ドラマにもすごく表れていると思います」

――康祐の明るいキャラクターは、濡れ場といったシーンとは対極にあるのかなと思うのですが、康祐の人物像をどのように捉えていますか?

「原作の康祐と今回のドラマの康祐は結構違っていて、原作には描かれていないコンプレックスや弱み、悩みをあえてドラマには盛り込んでいるらしいんです。原作だけを知っている方は、『あ、康祐ってこういう人間だったんだ』とドラマであらためて感じることが大きいのかなと思いますね。でも、女の子にモテる設定や、チャラくて人たらしという肩書のようなものは変わらないので、そこを描きつつ、本人だけが抱えている悩みを初めて打ち明けた時のシーンは、ものすごくリアルに演じたいです」

――康祐が素の状態に近いというお話もありましたが、一番近いと感じるところはありますか?

「一見チャラく見られたり、飲みの場とかご飯の場とか、みんなでいる時にああいう盛り上げ役でいることは多いかなと思います。盛り上げたくなっちゃいますね(笑)。特に先輩と飲む機会が圧倒的に多いので、そういう場もすごく楽しくしたいし、盛り上げたい。そういう部分は似ているのかな。仲良くなるのも早いので、そういう意味では『チャラく思われたり人たらしに見える部分でも似ているのかな…?』と思いました(笑)」

「これがLDHの強み」――我慢と悔しさを経て佐藤が感じたライブエンタメの魅力とは

――ご自身も少し前まで「アラクオ」に差し掛かっていましたが、25歳はどんな時期でしたか?

「アラクオの頃って、一般的に言うと『子どもから大人に変わるけど、大人にもなりきれない、すごく絶妙で曖昧な時期』なのかなと個人的に思っていて。大人になりたいけどなりきれない世代に当たるのかなと思います。自分が25歳の時は、ちょうどコロナ禍が始まった頃。ここから気合を入れていろいろやりたいのに、思うように物事が進まなかった3年間だったので、正直あまりいい思い出がないんです。24歳の時は、学園ドラマや学園映画といった制服を着るような作品が立て続けにあったり、個人的には写真集の撮影で初めてハワイに行ったりとすごく楽しくて。いざ『ここから頑張ろう』と25歳に差し掛かった時に、思うようなことができなかったり、LDHとしてもライブが300公演以上中止になってしまったり、僕の中では“悔しかった”という印象しかないんですよね」

――一番悔しさを感じた場面はありますか?

「EXILEのドームツアーをやっていて、京セラドームの本番の日にドームに入ってリハーサルまで終えてテレビをつけたら『イベントを中止にしてください』というアナウンスが流れて、そのまま東京に戻って中止になってしまったんです。その当日に居合わせたことは大きかったですね。そこから全部(イベントが)飛んでしまったので。ショックが大きかったです」

――我慢の時期を経て、今、少しずつ声出しも解禁されたりと元のライブが戻っています。これまでの悔しさをバネにするところもありますか?

「ありますね。先日まで行っていたツアーでは初めてマスクありで声出しが解禁されて、もう2年半ぶりぐらいに歓声を聞いて、『やっぱり、これがLDHの強みだな』と思いました。ライブエンターテインメントの復活への第一歩だなと感じたので、今も次のツアーにフルマックスで気合が入っていますね。LDH全社をあげてたくさんライブをしていきたいですし、日本のみならず、世界へ挑戦していこうと視野は広げています」

――今回ドラマのタイトルには「クオーター=4分の1」とありますが、FANTASTICSは2016年の結成から今年でちょうど7年を迎えます。佐藤さんの28年の人生の約4分の1を占めることにもなりますが、FANTASTICSというグループはどのような存在でしょうか?

「(驚いた表情で)もうそんなにたつのか…世界さんと自分をリーダーとして始まったグループなので、もうHIROさんには感謝しかないです。ずっと自分がリーダーのグループを作りたいと思っていた矢先にかなった夢だったので、絶対に手放したくない。もう家族みたいなものですよね。メンバーみんなの出身も成り立ちも違うんですけど、今、家族よりも一緒にいる時間が圧倒的に多いのがFANTASTICSなので。毎日会っているし、今日も取材の手前までずっと一緒に仕事していて。もう戦友ですね」

――組んでよかったなと思う瞬間も?

「もちろん! ライブをやっていて、お客さんの前に全員で並んで立った時は組んでよかったと思います。9人分の思いを背負ってずっと立っているので、『FANTASTICSでよかった』とずっと思っているんじゃないかと思っています」

――グループとして、そして個人として掲げている目標はありますか?

「自分の主演作で主題歌を歌いたいというのはずっと思ってきていたことだったので、今回『アラクオ』でそれがかなえられてめちゃくちゃうれしいです。歌はボーカルの2人が歌ってくれているので、パフォーマーの僕らができることがこれぐらいかなと思うので、今後もし主演作があった時には、FANTASTICSで主題歌を持たせてもらえるような存在でいたいなと思いますね」

――最後に、ファンの方、視聴者の方にメッセージをお願いします。

「とにかく第1話は絶対見てほしいです! 最初は『あ、恋愛ドラマが始まったな』みたいな捉え方だと思うんですけど、見ていくうちに『おやおや…?』となっていくと思うので。メインキャスト5人で集まる瞬間はほっこりするけど、それぞれ一人一人にスポットを当てた時に、『この子はこういう顔があるんだ』『こういう悩みを抱えているんだ』『こういう癖(へき)があるんだ』と、いろいろな見方ができるドラマだと思うので、1週間の楽しみになってほしいなと思います。それこそ、『ガチ恋粘着獣』(テレビ朝日ほか)は僕が1週間の楽しみにしていたドラマなんです。僕らは“リアタイツイート”という、ファンの皆さんと一緒に見る時間を設けているので、ぜひファンじゃない方もこれを機にFANTASTICSというグループを知ってもらえたらありがたいですし、僕たちと一緒にドラマを見てもらえたらうれしいです」

インタビューでは「自分が引っ張っていく」という思いが一つ一つの言葉から見えてきたが、それを体現するように佐藤さんはSNSを通して積極的に番組を盛り上げている。その姿勢からは、佐藤さんが「アラクオ」という作品にどれだけの思いを懸けているのか、ファンの方のみならず、ドラマを見る人にもしっかりと伝わるはずだ。

いよいよ始まる、個性豊かな5人が交わっていく「アラクオ」の物語。それぞれがどんな出来事に出合い、どんな結末を迎えるのか、最終話まで見届けていきたい。

【プロフィール】

佐藤大樹(さとう たいき)
1995年1月25日生まれ。埼玉県出身。2011年より俳優、サポートダンサーとして活動をスタート。14年にEXILEの新パフォーマーに、16年には世界とともにリーダーを務めるFANTASTICS from EXILE TRIBEを結成。パフォーマーとして人気を博す一方で、15年より本格的に俳優として活動をスタート。主な出演作に「ワイルド・ヒーローズ」(日本テレビ系)、「HiGH&LOW」シリーズ(日本テレビ系)、「liar」(TBSほか)、「理想ノカレシ」(TBSほか)、舞台「錆色のアーマ」、映画「センセイ君主」(18年)、「4月の君、スピカ。」(19年)、「小説の神様 君としか描けない物語」(20年)など。

【番組情報】

ドラマL「around1/4(アラウンドクォーター)」
テレビ朝日
7月8日スタート
土曜 深夜2:30〜3:00
ABCテレビ
7月9日スタート
土曜 午後11:55〜深夜0:25
※ABCテレビでの放送終了後、TVer、ABEMAで最新話を見逃し配信

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取材・文/平川秋胡(ABCテレビ担当) 撮影/蓮尾美智子 ヘアメーク/関東沙織 スタイリスト/椎名倉平

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