茨城・常陸太田 花畑で「元気な山間地」 耕作放棄地再生 住民ら草刈り

来年の開花を楽しみに草刈りに汗を流す地域住民ら=常陸太田市小妻町

茨城県常陸太田市の北部山間地域の小妻町笠石地区の住民らが地区内の耕作放棄地対策として、今月、本格的に花畑づくりに取り組むための準備を始めた。試行的にクリムゾンクローバーの花畑づくりに挑戦したところ、今年5月には真っ赤な花がじゅうたんのように広がった。可能性を感じた住民たちは「元気な山間地をアピールしたい」と意気込んでいる。

耕作放棄地の花畑プロジェクトが進められているのは、市内を通る国道349号を北に向かい、県道245号に入って山道を約5.5キロ走った場所。薄葉沢渓谷や笠石の滝などがあるハイキングコース沿い。

同地区では現在、3世帯が暮らしている。耕作放棄地の再生は地区内に住む会沢孝一さん(72)が呼びかけ、今は地区を出ている人を含め、40~70代の6人が参加した。

作業は昨年2月に耕作放棄地約3500平方メートルに生い茂っていたセイタカアワダチソウやヨモギ、カヤなどの草刈りから始めた。刈り取り作業は繰り返し行い、8月末にクリムゾンクローバーの種をまいた。真っ赤な花の色がきれいで、育てやすいと聞いて選んだ。

今年の作業は2日に始まった。5人が朝6時からハンマーナイフ草刈り機や刈り払い機を持ち寄り、進入路ののり面や畑の草を刈った。同日に参加できなかった1人は前日に草刈りを行っていったという。

鈴木昭一さん(40)は「花を見た時は感動でした。地元に残って頑張っている人がいるので、少しでも手助けしたい。生まれ育った地区を守っていきたい」と作業に汗を流した。

今年は面積を増やし、違う花も咲かせる計画だ。会沢さんは「地元を離れても手伝いに来てくれるのはうれしい。耕作放棄地が減ってハイカーにも喜ばれ、地域の活性化につながれば」と期待する。

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