「人の命を大切に」 6歳交通死の父、被害語る 茨城・鉾田二高

鉾田二高の生徒たちに命の大切さを語る佐藤清志さん=鉾田市鉾田

命の大切さについて考えてもらおうと、茨城県鉾田市鉾田の県立鉾田二高(海老沢浩一校長、生徒683人)で6月26日、交通事故の被害者遺族を招いた「いのちの講演会」が開かれた。20年前、当時6歳の長女を失った被害者支援都民センターの佐藤清志さんが、全校生徒の前で体験談を語り「人の命はもろくはかなく尊いもの。自分の命と周りの人の命を大切に思って」と呼びかけた。主催は県警と同校。

佐藤さんは2003年、長女の菜緒ちゃんを交通事故で失った。自転車で青信号の横断歩道を渡る途中、左折してきた大型トラックにひかれ、顔の認識ができないほど損傷。佐藤さんは手の感触で菜緒ちゃんだと分かったという。「見るに堪えない姿で愛する家族を突然失うことが、事故として軽く扱われている。それが交通被害の実態」と憤った。

飲酒運転やひき逃げなど、悪質な交通事故について、佐藤さんは「事故という言葉は間違いだと思う。交通事件や交通犯罪という言葉の使い分けができるのでは」と主張。行為の悪質性をしっかり示す必要性を説いた。

体験談のほか、状態別交通事故死者数のデータを示し、歩行中と自転車乗車中の犠牲者が半数を超えている現状を説明。「車を運転する大人の意識と行動を変えれば、被害は減るはず」と訴えた。

最後に、米国の詩人がつづった「最後だとわかっていたなら」の詩を朗読。大切な人を失う悲しみと、一緒にいられる時間を大切に生きようというメッセージを生徒たちに送った。

総合学科3年、大和田翔太さん(17)は「身近な人を失う悲しさや怖さを感じた。自分が車の免許を取ったら、気を付けて運転したい」と感想を述べた。

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