忘れない「七・八大水害」 経験者が備え呼び掛け

61年前に経験した七・八大水害について語った杉田進さん(左)と新宮智佐美さん=太良町の大浦小

 太良町大浦の大浦小(古川善隆校長)で7日、61年前に町内で発生した七・八大水害の祈念集会が開かれた。災害を経験した住民が当時の記憶や被害を語り、「命を守る備えと、災害に負けない強い心を持って」と児童に呼び掛けた。

 七・八大水害は1962(昭和37)年7月7日夜から翌8日にかけ、梅雨前線の影響で600ミリを超す大雨が降り、同町大浦の権現山が崩れて山津波が発生した。土石流が同小や集落に流れ込み、民家が押しつぶされるなどの被害が出て、町内で44人が亡くなり、127人が負傷した。

 集会では、山津波で自宅が半壊した新宮智佐美さん(85)と、杉田進さん(73)が当時の状況を語った。当時中学1年生だった杉田さんは「朝8時ごろにひどい雨が落ち着いたら、家の窓から権現山が動いているのが見えた。民家も畑もあっという間に土砂に飲み込まれ、小学校の門も流された。走って逃げる人もいて一番怖かった」と振り返り、「災害になったら自分で命を守る行動をしなければいけない。家族にもこういう災害があったことを伝えて」と語りかけた。

 話を聞いた同小6年の舩口千夏さんは「61年前につらく苦しい思いをしていたことを知りました。災害が起こる前に避難所を確認するなど、災害に備えたい」と話していた。

 集会では自衛隊佐賀地方協力本部武雄事務所による防災講話も行われた。(山口源貴)

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