350万年前、中国北部から来た? 宇佐市安心院町でサイの化石発見【大分県】

2020年12月に宇佐市で見つかった、サイの下顎の化石(滋賀県立琵琶湖博物館提供)
宇佐市安心院町の地図

 宇佐市安心院町で約350万年前のものとみられるサイの下顎の化石が見つかった。滋賀県立琵琶湖博物館などの研究グループが8日までに発表した。グループによると、この時代のサイの化石は少なく国内4例目。宇佐市では2例目で、中国北部から陸続きだった日本に渡ってきたらしい。市教委は「化石を通して、歴史や当時の自然環境に興味を持ってもらいたい」と期待する。

 化石は長さ約50センチ。右下顎の骨で、体長3~4メートルの成獣と推測される。

 見つけたのは、化石研究を続けてきた玖珠町帆足、元中学教諭北林栄一さん(71)。2020年12月に安心院町の知人を訪ね、以前に調査したことのある深見川に立ち寄った際、川岸の地表で化石の一部が見えたという。

 琵琶湖博物館によると、形や大きさが中国北部で掘り出されるサイの化石に似ている。詳しく調べた半田(はんだ)直人学芸員(38)は「この時代のサイが大陸のどこから来たのかはっきりしなかった。中国北部らしいと分かり、意義のある発見だ」と説明する。

 北林さんは「研究の役に立ってうれしい」と語った。

 安心院町は鮮新世(せんしんせい)(533万~258万年前)の地層があり、過去に大型哺乳類のゾウやクマのほか、カメやワニといった爬虫(はちゅう)類など、さまざまな動物化石が発掘されている。1998年にはサイの下顎の歯が見つかった。

 文化財保護を担当する宇佐市教委社会教育課は「今では日本に生息していない大型動物が身近な地域にいた。大きな湖や湿地帯が広がっていたことを表している。当時に思いを巡らせてほしい」と話した。

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