昨年摘発300件、2人死亡 青森県内飲酒運転根絶遠く/県警「取り締まり強化」

 青森県内で飲酒運転で摘発されるケースが後を絶たない。県警による摘発は2022年、300件に上った。飲酒運転による事故も依然として目立ち、2人が犠牲となった。祭りや盆など酒を飲む機会が増える夏本番に向け、県警は取り締まりを強化し、悲惨な事故の防止に取り組む。

 「交通規範を守ろうという気はあるんですか」。7月、青森地裁で開かれた裁判。道交法違反、無免許危険運転致傷罪などに問われた被告の20代男に対し、裁判官が強い口調で問いかけた。男は勤務先の飲食店でカクテルやシャンパンを飲んだ後、「交際相手と仲直りするため、早く家に帰りたかった」と車を運転。赤信号を無視し時速約60キロで交差点に進入、人身事故を起こし逃走したとされる。

 男は以前に免許取り消し処分を受け、事故当時は無免許。無免許運転は200回ほどしていたと供述した。被告人質問で今後について問われ「また免許を取って運転したい」と述べた男に、裁判官は「車との向き合い方をよく考えた方がいい」と諭した。

 こうした悪質な飲酒運転による交通事故(過失の重い第1当事者が飲酒、原付きバイク以上)は毎年発生している。18年は45件、12人が死亡した。19年は30件、死者4人、20年22件、死者3人、21年20件、死者2人、22年は28件、死者2人。県内の交通事故発生数は18~22年の5年で約590件減った一方、飲酒運転は依然として減少傾向には至っていない。

 県警の飲酒運転摘発状況を見ると、過去5年間は約280~約350件で推移する。月別では過去10年中9年で7、8月が最多。県警交通指導課は盆や祭り、夏休みなど人が集まる行事やイベントが多く、酒を飲む機会が増えることが要因とする。

 同課の附田豊次長は「飲酒運転は法を破ろうと思って意図的に行う故意犯。事故ではなく犯罪で重大な結果が生じる。夏に向けて取り締まりを強化していく」と話している。

© 株式会社東奥日報社