【部活どうなる(8)入試への評価】全国で唯一埼玉のみ部活実績を加算、全ての公立高で選抜基準に 誤解も

県公立高校の選抜基準。部活動の実績は点数化され、加算されている

 部活は強制か、自由参加なのか。「ひと昔前は半強制という学校があったが、今はさすがに…」と埼玉県教委幹部。生徒にとって部活動への参加は強制ではない。あくまで自由。ところが、部活動の実績が高校入試の加点項目、いわゆる「部活ポイント」として点数化され、部活動が生徒の進路に影響を及ぼす現実がある。

 県内公立高校の入試は一般的に学力検査(入試当日の試験結果)と調査書(内申書)の合計点で合否を決める。調査書は学習の記録(通知表の成績)と「特別活動などの記録」に分けられ、後者に部活動の実績が含まれる。各校が点数化し選抜基準として公表している。

 ある校長は「実際に内申書で部活が加点されるのは、部長や大きな大会に参加した一部の生徒に限られる。ところが、部活動に入らないと受験に影響が出るとの誤解や不安が生徒や保護者にはある」と指摘する。

 そもそも教科外の活動である部活動の評価は可能なのだろうか。県が設置する入試改善検討会議では部活動の地域移行が話題に上る。「今後、部活動が地域移行していく中で、中学生の活動をどのように評価していくのか」「部活動の地域移行に関して、市町村ごとのやり方は異なり差が出るため、部活動に重点を置くことも公平ではない」といった声も出ている。

 学校によって部活動の数や部員数は異なる。指導する教員の専門性や意欲にも温度差がある。今後、環境の格差が広がることが予想される中、平等、公平な部活動の実績評価はどう保証されるのか。

 文科省は昨年末、調査書の扱いについて全国都道府県教委の報告を公表した。12県で一部の公立高校が中学校での部活動の実績を点数化し加算していた。全ての県内公立高校で選抜基準に部活動の実績評価を加算しているのは埼玉のみだった。

 部活動と入試が結び付いてる埼玉。県高校教育指導課によると、当面方針を変える予定はなく、「全国で1県しかないということは認識している。中学生の頑張っている部分を評価してあげたい。さまざまな観点で加点をしてあげたいとの思い。(変更を)検討するというところまでは至っていない」としている。

© 株式会社埼玉新聞社