たけぞうが振り返る2023年上半期の株式市場、値上がり・値下がり銘柄に見る明暗の要因は?

2023年も半分が過ぎました。今回は2023年上半期、1月から6月の株式市場の振り返りを行いたいと思います。


強い動きとなった日本市場

2023年の上半期は、日経平均株価が6月に33年ぶりの33,000円台を付けるなど、非常に強い動きとなりました。要因として、東証がPBR1.0倍割れ企業への株価を意識した経営を促した事や、投資の神様と呼ばれるウォーレン・バフェット氏が率いる投資会社バークシャー・ハサウェイによる、日本の5大商社の買い増しなどが挙げられます。

日本の変化を海外投資家は見逃さず、1月から日本株を大量に買い越していました。ところが、3月に米国地銀のシリコンバレー銀行が破綻した事を受け、年初からの買い越し分を全て売った経緯がありました。

しかし、4月から海外投資家は12週連続で日本株を買い越し、現物株の購入は4~6月の累計で6兆1,123億円に達しました。海外投資家の大幅な買い越しが、日経平均株価の上昇につながったように感じます。

また、上半期の主要指数を見ると、日経平均株価は1月から6月末までに7,095円上昇(+27.1%)、TOPIXは同期間97P上昇(+20.9%)、マザーズ指数は同期間85P上昇(+11.6%)となりました。

業種別値上がり率上位は、卸売業が+38.6%、鉄鋼が+34.9%、機械が+33.6%、電気機器が+33.4%、輸送用機器が+30.8%と続いています。卸売業は、バークシャー・ハサウェイが買い増しした商社株が含まれます。なお、値下がりセクターはありませんでした。

TOPIX 500の値上がり・値下がり銘柄20

ここで、TOPIX 500採用銘柄から、上半期の値上がり上位20銘柄をお伝えします。

1:ルネサスエレクトロニクス(6723)
2:アドバンテスト(6857)
3:神戸製鋼所(5406)
4:ゼンショーホールディングス(7550)
5: SCREENホールディングス(7735)
6:ディスコ(6146)
7:NOK(7240)
8:セイノーホールディングス(9076)
9:新光電気工業(6967)
10:TBSホールディングス(9401)
11:イビデン(4062)
12:オークマ(6103)
13:日本酸素ホールディングス(4091)
14:三菱商事(8058)
15:丸紅(8002)
16:JSR(4185)
17:東京エレクトロン(8035)
18:京成電鉄(9009)
19:ニコン(7731)
20:パナソニックホールディングス(6752)

値上がり上位には、半導体関連が目立ちます。5月25日(木)に米エヌビディアが決算発表で、5-7月期の売上高が110億ドル前後になる見込みを発表し、これは市場予想を5割近く上回る数字だった為、同社の株価が急騰しました。

要因として、生成AIの学習や推論に使うGPUの新製品「H100」シリーズが好調で、需要が追いつかない程としています。同社の良好な決算や株価急騰を受け、ルネサスエレクトロニクスやアドバンテストなどが物色されました。また、好業績を発表した神戸製鋼所やゼンショー、株主還元策を発表したセイノーHDやNOKなどの上昇が目立ちました。

反面、TOPIX 500採用銘柄から、値下がり上位20銘柄をお伝えします。

1:住友ファーマ(4506)
2:日本M&Aセンター(2127)
3:JCRファーマ(4552)
4:ベネフット・ワン(2412)
5:エフピコ(7947)
6:日本新薬(4516)
7:ジャフコ グループ(8595)
8:伊藤園(2593)
9:マニー(7730)
10:楽天グループ(4755)
11:アインホールディングス(9627)
12:小野薬品工業(4528 )
13:シャープ(6753)
14:エス・エム・エス(2175)
15:パーク24(4666)
16:ミルボン(4919)
17:小林製薬(4967)
18:エムスリー(2413)
19:沢井製薬(4887)
20:カシオ計算機(6952)

値下がり率トップの住友ファーマは、今期最終の赤字拡大と無配を発表、JCRファーマも2023年3月期業績予想を大幅に下方修正しました。携帯電話事業の不振が続く楽天グループも、値下がり上位となっています。

米国市場の2023年上半期

続いて、米国市場です。NYダウの同期間は1,260ドル上昇(+3.8%)、ナスダックは3,321P上昇(+31.7%)S&P 500は同期間611P上昇(+15.9%)となりました。ナスダック、S&P 500は年初来高値で上期を終了しました。

S&P 500採用銘柄から、値上がり上位10銘柄をお伝えします。

1:エヌビディア【NVDA】
2:メタ【META】
3:カーニバル【CCL】
4:テスラ【TSLA】
5:ロイヤル・カルビアン・クルーズ【RCL】
6:ノルウェージャン・クルーズ・ライン・ホールディングス【NCLH】
7:アドバンスト・マイクロ・デバイセズ【AMD】
8:パルト・グループ【PHM】
9: ゼネラル・エレクトリック【GE】
10:アライン・テクノロジー【ALGN】

前途としたエヌビディアを始め、テスラやメタなど、2022年に大幅下落した銘柄の上昇が目立ったほか、カーニバルやロイヤル・カルビアン・クルーズなど、レジャー関連の値上がりが目立っています。


2023年上半期は日米ともに好調な株式市場でしたが、7月に入り株価は冴えない展開となっています。

米国の物価高止まりからさらなる利上げ懸念や中国の景気後退懸念、日本では7月上旬のETF決算を迎え、需給悪などが挙げられます。また、大幅に日本株を買い越していた海外投資家が売り越しに転じる週もあり、買い一服感も伺えます。

下半期も更なる上昇を目指すとなれば、企業業績の向上と積極的な株主還元、PBR1.0倍割れ企業の改善策に期待したいと思います。

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