カルティエ タンク バスキュラント「防御形態? 縦回転する時計ケース」【今週の逸本 Vol.206】

フォーマルからインフォーマルまで、自身のこだわりを移す鏡として選ばれる腕時計の数々。ここではブランド腕時計専門店・MOON PHASE(ムーンフェイズ)が最新モデルからアンティークまで、見る者の感性を刺激する1本をセレクト。今回は、カルティエの人気コレクション『タンク』から少し変わった機構を持つ『タンク バスキュラント』をご紹介しよう。

Cartier
世界のトップジュエラーに君臨するブランドでありながら、時計史に刻んできた功績はとても大きく、時計業界への影響力も高いのがカルティエだ。とくに1904年に発表された「サントス」は、“時計を腕に巻く”という腕時計の概念を普及し、懐中時計から腕時計への移行を後押ししたほど。「タンク」「パシャ」などのロングセラーモデルをいくつもラインナップし、近年も「バロン ブルー」「カリブル ドゥ カルティエ」などの新シリーズを続々とリリース。片時も目を離すことのできないメゾンである。

打撃もなんのその! ダイヤルを守る腕時計『バスキュラント』

スクエア型のケースが特徴的なカルティエの『タンク』コレクション。当連載でも2021年に登場した『 タンク マスト 』をご紹介したことがある。

タンク コレクションのラインナップは豊富で、「タンク」「タンク マスト」以外にも、ケースにゴールドを採用した「タンク ルイ カルティエ」や、縦長のケースが特徴的な「タンク アメリカン」、メタルブレスレットを採用した「タンク フランセーズ」など多岐にわたる。

今回ご紹介するのは、数あるタンク コレクションの中でも少し異色なモデル。反転ケースを採用した『タンク バスキュラント』だ。

タンク バスキュラント

「反転ケース」と聞くと、思い浮かぶのはジャガー・ルクルトの『 レベルソ 』だろう。ポロの競技中にスティックの打撃からダイヤルを守るためにケースを裏返す──というのが反転ケースの由来だが、本モデルも理由は同じ。
※バスキュラントは「回転」という意味

本モデルは1931年頃に発表されたコレクションの復刻モデルで、30年代はポロが盛んだったこと、当時はサファイヤクリスタルガラスがなくダイヤルを保護する必要があったことなどから、こうしたモデルが作られたわけだ。

ちなみにジャガー・ルクルトのレベルソはケースが横回転するが、タンク バスキュラントは縦回転である。

操作方法は簡単で、ケースの12時位置に配置された青いスピネルの上を持ち上げてケースを反転させるだけ。

2針の時計で文字盤はとてもシンプル。「Ⅶ」の文字にはカルティエではおなじみの隠し文字が入っている。

2針でとてもシンプルな文字盤
「VII」の文字には「CARTIER」と入っている

前述したとおりケース上部にリューズが内包される形でついているため、ケースのスクエア型がとても綺麗に見える。

クオーツモデルで非常に薄く仕上げてあるのも魅力で、腕元をさりげなく飾るには最適な1本といえるだろう。

Cartier
タンク バスキュラント
品番:W1011258
素材:ステンレススチール
サイズ:縦35.5㎜×横23.5㎜
防水:日常生活防水
ムーブメント:クオーツ
文字盤:アイボリー
販売価格:438,000円(税込)※USED
【付属品】
なし
※価格は2023年7月現在のMOON PHASE銀座店・販売価格です。

MOON PHASE 〜STAFF VOICE〜

世界中のファッショニスタたちが少し古めのカルティエ時計に注目しはじめていて、いまじわじわとカルティ時計が高騰してきています。なかでも『バスキュラント』は人と被りづらい&生産数も少ないことから人気があり、なかなか手に入れづらいモデルです。

ケースの反転構造のおかげでベゼル部分が多重になっており、まるで額に収まった絵画のような雰囲気がありますね。

本モデルはMMサイズで、大きすぎず小さすぎず、男女ともに使いやすいサイズといえます。もともとはスポーツ時に着用するモデルとして作られていますが、それはあくまでも昔の話。もし手に入れても、いまは当時の雰囲気を楽しむだけにしておいてくださいね!(笑)

腕時計に関する記事はこちらから

[腕時計 - dino.network]

© 株式会社リボルバー