800以上の少数部族が暮らし、多彩な文化が息づく「パプアニューギニア」ってどんな国?

オーストラリアの北160km、赤道直下に位置する「パプアニューギニア」は、600以上の島々があり、20の州と4つの地域で構成された国です。また、独自の文化が多数存在するユニークな場所でもあります。今回は、そんなパプアニューギニアの基本情報をはじめ、魅力的な観光スポット、世界遺産、人気のスポーツをご紹介!

パプアニューギニアの基本情報

太平洋南部に浮かぶニューギニア島の東半分と、ビスマーク諸島などの島々からなるパプアニューギニア独立国は、沿岸部から高地まで、手つかずの大自然に恵まれた島国です。面積は約46万平方キロメートルで日本の約1.25倍あります。

首都はポートモレスビーです。ここにはジャクソン国際空港があり、パプアニューギニア各地への玄関口になっています。

人口は994万9,437人(2021年)で、800以上の部族を有し、パプア系、メラネシア系の人たちが暮らしています。また、公用語は英語ですが、ピジン英語、モツ語なども使われています。宗教は主にキリスト教。ただし、祖先崇拝といった伝統的な信仰も根強いです。

パプアニューギニアの国旗の、黄色い鳥は国鳥の「極楽鳥」で、富と幸福と親善のシンボル。5つの星は「南十字星」を、赤は「太陽と国民の活力」を、黒は「肌の黒いメラネシア人」を表しています。

ちなみに国名は、パプアがマレー語で「ちぢれ毛」という意味で、ニューギニアは先住民の外見がアフリカのギニア地方の住人とよく似ていたことから名付けられました。

パプアニューギニアに行くには?

ミルン湾のリーフ

日本からパプアニューギニアへは直行便が就航していません。行き帰り最低1カ所で乗り換える必要があります。成田・羽田空港から首都ポートモレスビーへ行く場合、フィリピンのマニラ、中華人民共和国の香港、シンガポールなどで乗り継ぎが可能です。

パプアニューギニアに入国するためには、ビザの取得が必要(2020年3月以来コロナ禍の影響でアライバルビザは停止中)です。詳しい申請方法はこちらをご確認ください。

また、2023年7月現在、パスポート残存有効期限は、入国時に6カ月以上、未使用査証欄4ページ以上が必要になります。

パプアニューギニアの最新の渡航情報について詳しくは下記をご覧ください。

パプアニューギニア駐日大使館

海外安全ホームページ

※パプアニューギニアではマラリアにかかるリスクがあります。必須ではありませんが、心配なようなら、渡航前に抗マラリア薬の内服などを検討した方がいいかもしれません。

パプアニューギニア随一のリゾート地「マダン」

ニューギニア島の北部海岸に位置する「マダン」は、パプアニューギニアで「南太平洋でもっともかわいらしい町」といわれています。マダンリーフという環礁に囲まれているため、透明度の高い海と珊瑚、白浜のビーチを楽しめる、パプアニューギニア随一のリゾート地でもあります。

また、マダンは魚影が濃く、人気のダイビングスポット! ギンガメアジやバラクーダの群れと遭遇できる可能性も大です。歩くサメとして知られる、パプアニューギニアの固有種「フーデットカーペットシャーク」に出会えることも。

さらに、野菜や果物、ナッツ類のほか、アクセサリーや木彫りの民芸品を売っている公設市場(マーケット)は、お土産探しにもってこいです。市場の隣には、かつてこの地を植民していたドイツ人の墓地もあります。

そのほか、映画『ロビンソンクルーソー』のロケ地のひとつ、大ウナギやスッポンモドキが生息する、マダン郊外の「バレク自然公園」や、マダンの町を一望できるアムロン高地、旧日本軍の飛行場を訪れる現地ツアーもあります。

マダンはポートモレスビーから国内線で、わずか1時間です。パプアニューギニアを訪れたら、ぜひ行きたい町ですね。

マダン

太古の昔から、独自の文化を持つ部族が暮らす「セピック川」

パプアニューギニア最大、全長約1,100kmの「セピック川」流域には、太古の昔から独特の生活様式と精霊信仰を持つ、さまざまな部族が暮らしています。

この流域を象徴するのは、精霊をまつる神聖な家「ハウスタンバラン」です。祖先の霊や自然界の精霊はすべてこの家に君臨すると信じられています。

また、注目したいのがセピック川流域で作られている、精霊やワニなどを象った木彫り、トーテムポール。原始美術として世界中から注目を集めています。セピック川流域は、最もパプアニューギニアらしい雰囲気が残っているといえそうですね。

ワニ祭りの様子

セピック川を観光するには、ロッジ滞在型と、クルーズという、大きく分けて2つの方法がありますが、いずれも毎日、小型ボートに乗り込み、セピック川沿いの村々を訪ねます。

セピック川

雄大な自然があり、戦跡の見学も可能な「ラバウル」

旧日本軍南方方面司令部があったことで有名な「ラバウル」は、火山とジャングルがつくり出す雄大な自然を堪能できる町です。

この町には活火山があり、1994年に大噴火を起こして、町の大半が火山灰で埋まってしまいました。そのため、家を失った人々が車で30分ほどの場所に居を移し、そこが現在、ラバウルの中心地になっています。

この町で訪れたいのが、日本政府とパプアニューギニア政府が共同でつくった「南太平洋戦没者の碑」。この地は、第二次世界大戦中に日本軍が占領し、「ラバウル要塞」を築いたのです。今では、日本から多くの人々が参拝に訪れています。

さらに、旧日本軍司令部の地下壕や大発洞窟といった戦跡の見学が可能です。加えて、ココポの町にある「ココポ博物館」には、ゼロ戦や武器のほか、伝統工芸品、装飾品も展示されています。

映画『永遠の0』の舞台として知られ、『ゲゲゲの鬼太郎』の水木しげるが戦時中駐留したラバウル。日本とパプアニューギニアの歴史それぞれを振り返りつつ、ぜひ一度訪れてみたいですね。

ラバウルはポートモレスビーから国内線で、1時間20分ほどです。

ラバウル

世界遺産はひとつ! ニューギニア島最古の農耕地「クックの初期農業遺跡」

パプアニューギニアのバナナ農園

パプアニューギニアには世界文化遺産がひとつあります。パプアニューギニア南部、海抜1,500mの湿地にある、ニューギニア島最古の農耕地です。発掘調査で、少なくとも7,000年前から耕作が行われていたことが判明しており、さらに1万年前までさかのぼる可能性も。

さらに、4,000年前にはバナナの栽培が始まっていたことも証明されました。また、タロイモやヤムイモなどの生産がずっと続いている場所もあり、この農耕地は「クックの初期農業遺跡」として、2008年に世界遺産に登録されました。

これほど長期にわたり、独自の農業の発展や、農法の変化について考古学的な裏付けがとれた場所は、世界にも類がありません。

クックの初期農業遺跡

パプアニューギニアで人気のスポーツは?

パプアニューギニアで人気のスポーツはラグビー! 至る場所で子どもから大人までラグビーを楽しんでいます。

ポートモレスビーの国立フットボールスタジアムは、2015年のパシフィックゲームズ開催地であったためにアップグレードされ、今では世界トップレベルになりました。

また、毎年開催される、ナショナルチームの「クムル」対オーストラリア戦では、スタジアムが全席完売となり、大変盛り上がります。

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