【寄稿】回せ(WEB版)/大﨑一万発

パチンコが回らないのは、台が(メーカーが)悪いのか、ホールが悪いのか──。依然として客離れが止まらない4円パチンコへの「解答」として、ネット上で頻繁に見かける議論です。回さないホールが悪い、いやキカイ代のせいで回せない。スペックが甘すぎるから、ゲーム性が無理、行き過ぎた射幸性が、イベント乱発しすぎ、プロが増えすぎ……、と我々のような販促媒体やユーザーまで巻き込まれての百家争鳴。しかし、「鶏と卵」に同じく、どっちのせいだと簡単に決めつけられるものではありません。

「価格を下げたくないvs.換金率を下げたくない」。お互い絶対に譲れないメシのタネがありますから、相手のせいにするしかない。回さない、回せない、どちらの言い分もそれぞれに「正義」なのは理解するところですが、プレイヤーの立場からすれば、関わりない揉め事のツケ回しをするなとイライラばかりが募るわけです。睨み合いを続ける余裕がまだあるのかと逆に感心してしまうほどですが、突っ張る方が(少なくとも短期的には)得だと考えている企業さんが多いのでしょうか。まさか身動きできないままに沈んでいるだけ、なんてことはさすがにないと信じたいですけどね。

僕の意見を申し上げるなら、一義的にはホールが悪い。もっと回せるはずの台を回してないのは絶対的に悪い。千円10回しか回らんとか、もはや娯楽の崩壊であり否定です。スペックのせいにするくせに、甘いのもそうでないのも同じようにシメるとかふざけてんのかと思います。出す日、出す台はちゃんとやってるホールも少なくないですが、イベント常態化の今、どこに向けてどう出すかを考え直す時期にも思います。いらん出し過ぎ、特定の層に取られる出玉を再分配できれば、底上げできないはずはないし、スペックの精査をして細やかにメンテすれば、もっと回せる台もあるはずです。そう、出せ勝たせろとわがままを言いたいわけじゃなく、シメすぎ取りすぎはやめてくれと申し上げたいだけなんです。

メーカーに対しては、この状況下、甘すぎる台はやっぱり無理だと思う。尖らせたいのは当然だし、辛くしても結局シメられるから、とはよく聞く「言い訳」ですが、危機感のあるホールも増えている中、回そうムーブを先導することは可能なはずです。メイン機種が、エヴァやリゼロが千円20回で使えるスペックでドーンと出たら……。いやコトはそんな単純ではないけれど、じわりじわりでも回せる方向性に向かわないと、ホールもプレイヤーも耐えられない。ゲーム性をぶち壊さないと使えないような製品は、普通に考えて欠陥品ではないのでしょうか。

もうひとつ、遊技機価格と販売方法に関して。捨て身の爆弾をぶん投げるホールでも現れない限りは、現状のままメーカーもホールも優勝劣敗が加速される流れは止まらないように思います。プレイヤーには手も足も出せない分野だけに、どうこうどうしろとは何ひとつ申し上げられないし、最終的には売る側と買う側で決めることではありますが、資金を提供するのは我々だということ、忘れないでいただきたいですね。

回さない、回せないのは、どっちかではなくどっちも悪い。この後に及んでの睨み合い、なすりつけ合いは、騒ぐだけで解決しない旧来の業界像そのものです。そしていつものように、「ユーザー不在」を嘆くだけ……。本物のギャンブルであるはずのポーカーや公営競技の方が、はるかに手軽に、そしてコスパ高く遊べる状況を異常だと思ってほしい。

■プロフィール
大﨑一万発
パチプロ→『パチンコ必勝ガイド』編集長を経て、現在はフリーのパチンコライター。多数のパチンコメディアに携わるほか、パチンコ関連のアドバイザー、プランナーとしても活動中。

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