【袴田事件】検察が“有罪立証”の方針 裁判での審理長期化か(静岡県)

いわゆる「袴田事件」の再審、やり直し裁判をめぐって7月10日、検察は袴田さんの有罪を主張する方針を示しました。

弁護団と検察側の意見が対立することとなり、審理は長期化する見通しです。

1966年、旧清水市でみそ製造会社の専務宅が全焼し、焼け跡から、刃物で殺害された一家4人の遺体が見つかったいわゆる「袴田事件」。当時、逮捕されたのは、みそ製造会社の住み込み従業員だった元プロボクサーの袴田巌さんで、1980年に死刑が確定しています。

この判決を不服として弁護団が何度も訴えてきた裁判のやり直し。

34年後の2014年、弁護団らの主張が受け入れられ、静岡地裁がようやく裁判のやり直しを認めました。さらに、“死刑囚”の袴田さんを釈放する異例の決定もしたのです。

しかし、この決定に今度は検察が不服を申し立て、東京高裁で再び審理が行われました。

この時の最大の争点は、事件から1年2か月後に味噌タンクの中から見つかった5点の衣類が犯行着衣かどうかでした。

1審で犯行着衣とされたこの衣類には血痕があり、当時の捜査資料には血痕の色は「濃赤色」と記載されていました。しかし、弁護団が実験を重ね、長期間みそ漬けされた血痕に赤みは残らないと主張。犯行着衣ではなく「ねつ造された証拠である」と訴えました。その結果…

(リポート)

「再審開始、再審開始と掲げられました」

東京高裁が弁護団の主張を認め、裁判のやり直しが確定しました。東京高裁は「みそに1年以上漬かると衣類についた血痕は黒くなる」という弁護側の主張を認めました。さらに、5点の衣類について「捜査機関によるねつ造の可能性が極めて高い」と言及したのです。

この決定に対し、東京高検は「特別抗告」を断念。静岡地裁で再審公判が開かれることが決まりました。

現在は弁護団と検察と裁判所の3者で、公判の進め方やスケジュールなどについて話し合われていて、検察の再審に臨む方針が最大の焦点となっていましたが、10日、検察が袴田さんの有罪を主張する方針を示し、審理が長期化する可能性が高まりました。

© 株式会社静岡第一テレビ