ジェイソン・ムラーズ、若い頃の自分へアドバイスを贈る

20年以上音楽活動を続けてきたジェイソン・ムラーズが、2023年6月23日に初のポップ・アルバム『Mystical Magical Rhythmical Radical Ride』をリリースした。10曲入りのこのアルバムには、ムラーズの全ての作品に通底する深い問いを投げかけながらも、これまでで最もダンサブルでポップな楽曲が収録されている。

そんな彼が、先日米ビルボード・ニュースのスタジオに立ち寄り、このアルバムが母親から多大な影響を受けていることなど、制作の裏側について語った。次のプロジェクトで模索しようと考えているアイデアを母親に伝えたところ、「すごくいいと思うけれど、前にもやったことがあるような気がする」と指摘され、「手遅れになる前にポップ・アルバムを作るべき」と言われたそうだ。

彼は、「その"手遅れになる前に"という言葉が部屋中に響き渡ったんです」と振り返り、「アップビートな音楽を作るには歳をとり過ぎているのかなって思いました。だから自分自身とバンド・メンバーに課題を与えたくなったんです。踊れるようなアルバムを作ろうと、みんなで課題を与え合いました」と明かしている。

とはいえ、ニュー・アルバムのリリース日に46歳になったムラーズは、同年代の人たちのためのダンス・ミュージックを作りたいと考え、多くのメインストリーム・ポップとは異なる視点からアルバムのテーマにアプローチした。彼は、「歴史的に見ると、もし僕がもっと若い頃にこれをやっていたら、ホルモンも出まくってるし、ゴリゴリのダンスフロア・ミュージックを作ろうとしていたでしょうね」と述べ、「歳を重ねるにつれ、そういった瞬間はまだ貴重ですが、それが人生の全てではなくなる。時に人生とは、その日を乗り切るために自分を励ますことだったりするんです」と説明している。

『Mystical Magical Rhythmical Radical』はムラーズにとって8枚目のスタジオ・アルバムで、「The Remedy (I Won't Worry) 」や「You and I Both」といったブレイクのきっかけとなったヒットを生み出した1stアルバム『Waiting for My Rocket to Come』から21年後のリリースとなる。

デビュー当時について彼は、「当時は、それしか知らなかったから、勝者のような気分でしたし、少しふさわしくないような気分でもありました。あまりにも早くこの世界に放り込まれたような気がしていました。人生において(夢を)全部実現できていたわけではなかったし、23、4だったから、その年齢向けの曲を書いているんです。間違った場所で愛を探す、みたいな。でも自分はなぜここにいるのか、生きる意味とは何なのかも問いかけています。それが貫かれていると思います」と述べている。

ムラーズは、若い頃の自分へのアドバイスはとてもシンプルだと言う。「リラックスしろ、“トランプ・スタンプ”(腰のタトゥー)は必要ない、タバコは思っているより早くやめられる、大丈夫だから」と自分へメッセージを送った彼は、「ジャンク・フードにタバコにビール、それを全部毎晩のように。それがあの頃の自分でした。自分は不滅だと感じていました。それから何年も目を覚ますことはありませんでしたが、おそらく2007年に人生に大きな変化があったんです。だからあの最初のアルバムは遠い記憶なんです。楽しい記憶ですけどね」と語っている。

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