17年ぶり全面再開 「シーサイド道路」 茨城・神栖 地権者と和解

通行止めのバリケードを撤去する市職員ら=神栖市波崎

私有地が含まれていたため2006年から一部通行止めだった茨城県神栖市波崎の市道(通称・シーサイド道路)が10日、約17年ぶりに全区間で通行できるようになった。市は今年3月、地権者の男性と和解し、売買契約を交わしていた。現地では同日、式典が開かれ、関係者が通行再開を祝った。

シーサイド道路は、鹿島灘に沿って南北に走る全長約15キロの市道。通行止めが続いていたのは波崎地区の数百メートルで、私有地はこのうち約80メートルに及んでいた。

男性の父親が1996年、境界画定を求め当時の波崎町長を提訴し、04年に父親の勝訴が確定。合併後の神栖市は、父親や土地を相続した男性と交渉してきた。通行止め期間中は、通行車両と地権者男性との間でトラブルも起きていた。

式典で、全面再開にこぎ着けた同市の石田進市長は「市民や市外の皆さんに大変ご迷惑をおかけした」とした上で、「神栖市がさらに魅力ある誇れる地域になっていくよう、市民と力を合わせ前に進めていきたい」と語った。

同日午前10時半には通行止め用のバリケードなどが撤去され、一般車が通行を開始した。通行止め区間で営業していたキャンプ場関係者は「これまでお客は迂回(うかい)して裏から来ていた。解決してよかった」と、ほっとした表情を浮かべた。

シーサイド道路には複数の地権者が所有する共有地も残るが、石田市長は「多くは市の所有地で、(他の)所有者の同意をもらっている」と述べた。

© 株式会社茨城新聞社